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馬鹿だってこと、わかってる。知ってるよ。

そう笑って言えば、なんだか少し虚しくなった。
そうか、って言いながらスガがまだ心配そうな顔で見るから、背中を思いっきし引っ張叩いてやれば、痛そうに顔を歪めた。それを見てもう一度笑ってやれば、呆れられ顔をして、無理すんなよと私の右肩を一回叩き、スガはバックを持って先に行ってるからと手を振った。すぐ行くよ、と去り際に言えば、苦笑して待ってる、と彼はもう一度手を軽く振っていた。

「・・・・・・・・・」

窓の外にはサッカー部が外周をしていて、野球部はストレッチ。バレー部も今頃ストレッチしてる頃かな。・・・・・マネージャーとして、しっかりしなくては。もう行こう。来週の練習試合の為に皆頑張っている筈だし。潔子待ってるし、行かなきゃ。
鞄を持って、私は教室を後にした。


***************

澤村に振られてから、もう半年が経つ。まだ諦めたくないって無意識に思ってる所とか、澤村と髪型とか顔の作りがちょっと似ているクラスの比嘉くんを澤村の変わりに目で追ってしまっていることとか、休日に会えたらいいなとふと思っている自分がいることとか。全部、本当はわかってるんだよ。馬鹿だって。

「ごめん!ちょっと遅くなった」
「全然大丈夫。タオル頼める?」
「うん。あ、それ終わったら私が一年のタイムやるよ。」
「本当?それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらう。」
「みょうじ!」

だけど、でも、それ以上に、澤村に執着してるんだ。

「何?澤村」
「これ、今野先生から。ノート預かった」
「あ。ありがとー」

好きで、好きで、堪らない。笑ってる顔を見ると、あぁ、幸せだなって思うし、部活の真剣な顔を見ると、頑張れって思うのと同時に胸の奥がギューッて締め付けられて、もっと見ていたいって思う。
でも、もう二度と澤村には言わないって決めているから。だから、こんな感情、早く捨ててしまえばいいのにね。何で、捨てられないんだろうか

「潔子、タオル終わったから私タイム測ってくるね?」
「うん、お願い」

昔から、私は整理整頓が苦手だった。あと二・三年ぐらい経てば、絶対要らなくなるモノを、昔から捨てられなかった。大事なんだよ、まだ手放したくなくて、見ていたいんだよって。捨てないまま、ファイルとか引き出しに仕舞って。それで、時間が経った時に、懐かしいなぁ、って。たまにそれは取って置くけれども、やっぱり捨てるモノの方が多くて。私は、いつこの感情を捨てられるのだろうか。あと、二年ぐらい経ったら、忘れられるのかな

「タイム測ります。まず影山くんと月島くんからー」

澤村、好きだよ。好きで、好きで、もうこの際私嫌われちゃえばいいのにって思うぐらい好きだよ。
最初の時は、スガに頻繁に心配されるから、私、そんなに顔に出てるのかと心配になったけど、そんなんじゃないよ、大丈夫ってスガが言うから安心して私、なんとか澤村と話せてるけど、澤村の事だからきっとすごく気を遣っているんだろうね。ねぇ澤村、私達友達だったのに、ただの部活仲間になって、クラスで話すこともそんなになくなったよね。最初はすっごいスガが気を遣ってくれてて、もう何やってんだ私ってすごい告白したこと後悔したよ。
だから早くこの感情が消えちゃえばいいのにって思う。もし神様が本当にいるのなら、この感情を消し去ってくれないだろうか。・・・・なんて。

「はーい次は日向くん達ー」


───私は、澤村が好きだ。恋愛感情だけじゃなく、友達としても。


どうか、友愛に。

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