「アルギアさんっ起きてください、アルギアさん、」
「・・・んー・・・、」
「アルギアさん、」
「・・・・・・・・・ナマエ、さん?」
「はい、そうです」
「・・・おはよう・・ございます」
二時間程前に、目が覚めてもう一度寝直そうとも思ったが目はなんだかとても冴えていて、どうしようかな、なんて思っていたのだが不思議ととくにあれこれ何も考えずに時間は経ってくれた。気が付けば、もう8時過ぎになっていて、街は騒がしく、慌ててアルギアさんを起こしたのが40分前程のこと。
「おはようございます。今丁度9時になった所です」
アルギアさんは欠伸を一つしたかと思えば目を擦りながら屈伸をして、起き上がって何時頃起きたんですか?と質問をしながら窓の外を眺めた。
「・・・さっき、起きた所です」
「そうですか、すぐに朝食の用意をしますね。」
「!いえ、そんな・・・すぐに出ます。泊めて下さって、本当にありがとうございました。・・・・お礼もできずに、本当に申し訳ありません。」
「ナマエさん、顔を上げてください」
「・・・・・、」
顔を上げればニッコリとアルギアさんは笑っていて、首を傾げれば、朝からいきなり突拍子もないことをさらりと言いのけた。
「お礼に僕と一緒に暮らしてくれませんか?」
「・・・・・・・・・・は」
一瞬、頭が真っ白になった。何を、言っているんだろう、何が目的で、
「あ!言っときますけど僕には愛する妻と娘がいるのでナマエさんに手を出したりとかそういう心配はいりませんから!!ロリじゃありません!」
「いや、それは考えてはいませんでした。大丈夫・・・、・・・!っじゃないです!!」
「え?」
「何を言ってるんですか!!奥さんがいるのに・・・!こんな子供ならその点については大丈夫でしょうが、世間的に言ったら妻子がいる男の家に転がり込むなんて非常識です!!」
「ええ・・・・んー、でもですね、寂しいですし、僕。」
「寂しいとかの問題じゃないでしょう」
「でも、ナマエさん、お礼できないでしょう?」
「・・・・そ・・・れはっ」
「反論できないなら決まりですね。」
ニコリと笑ってよろしくお願いします、と頭を下げるアルギアさんに何とも言えない気持ちになる。外見に違えた強引さに呆れと驚きがごちゃまぜになって、つい私は流されて、
「・・・・・・こ、ちら、こそ」
アルギアさんって何者なんだろう。強引で、だけど嫌みはなくて。不思議な空気を纏っている。
「いやーこれで寂しくないです。本当にありがとうございます」
本当に、不思議な、人だ。
(悪い人では、ないと思う)
(勘だけど)