隣の紫原くん | ナノ


チャイムが鳴って、数学がやっと終わった。あと一時間終わったらごはんだ。

うあーお腹すいたー。今日買ったやつ食べよ



「何それ、新しいやつ?」

「うん。コンポタージュ味。紫原くん、いる?」

「いるー」


入学してから三ヶ月が経った。
学校にも慣れてきて、友達もできて、名前もそこそこに覚えてきた。

席替えももう昨日で二回目で、隣の席は誰かな、なんて見たらまた同じ。
入学初日の時は後ろの席で、
つい最近まで隣の席だった、紫原くんだった。


「おいしー・・・」

「このシリーズハズレないよね」
「ねー」


紫原くんは学校で一番背が高くてバスケ部で、キセキの世代?とかいうすごい人らしい。

クラスの子が言ってた。


「あー、これ期間限定じゃなくて通常になんないかなー」

「ねー、・・・・・眠そうだね?練習大変?」

「うん。すごいお腹すくの」

「夏だからねー、どこの部活も大会で大変だ。」


ぐきゅるる、とスナック菓子を頬張りながらお腹を鳴らせる紫原くんはそんなにすごい人だなんて思えない。
たしかに最初見た時は背の高さと威圧にはびっくりしたけど。


「なまえちん所も大変そうだねー弓道楽しい?」

「たのしーよー・・うあー数学わっかんないなー」

「そういう時は室ちんだよ
室ちーん助けてー」

「呼んだ?」

「わっ!びっくりしたー!ちょーどいいです、ムロえもーん数学がわかんないでーす」

「どこがわかんないの?村上」

「問3の(6)からです。何でここ2がつくんですか?」

「あ、それはルートに元々2が隠れてるからだよ」

「まじですか!何で書かないの!?」

「ホントだよねぇ黒ちんみたい」
「あ、前話してた影が薄いっていう?」

「うん。そう」

「あ、そうだ。敦、部活で話があるんだけど」


氷室先輩はどうやら紫原くんに用があったみたいで一年の教室に来てたみたいだ。
うん、氷室先輩やさしーよねーモテるのがわかる。



「・・・・・・・・あ」


・・・・・・お菓子、ほとんどなくなってる。

・・・・・・・紫原くんのヤロウ・・・


隣の席の

←  
- ナノ -