「それじゃあ、パパのお弁当は宙斗のリュック。パパの水筒は流司のリュックね」
「うんっ!」
「はーい!」


2人のリュックにそれぞれを入れる。子ども用の小さなリュックだからそれだけでもいっぱいになって重そうだけど、おつかいが出来るということが嬉しいらしく2人できゃっきゃとはしゃいでいる。

あれから流司もすぐに起きて、パパの忘れたお弁当を自分も持っていくと言ってきた。
思いついた案は簡単で、宙斗の初めてのおつかい。流司も行くので2人の初めてのおつかい。1人ずつで行かせたほうが良いのかは分からないけど、でもやっぱりいつも一緒にいるのだから2人で良いのかな、なんて。そんなことを考えながらリュックのチャックを閉めた。


「よしっ、それじゃあ2人とも。確認するわよ?」
「「はーい!」」
「行くときは?」
「「おててつなぐ!」」
「横断歩道を渡るときは?」
「「みぎみて、ひだりみて、もういっかいみぎみて、てをあげてわたる!」」
「じゃあ信号がない横断歩道は?」
「「ちかくのおとなのひとにいっしょにわたってもらう!」」
「知らない人には?」
「「ついていかない!」」
「いってきますの?」
「「ぎゅー!!」」


手を繋いだまま、ぎゅーっと抱き着いてくる2人を抱きしめる。近くの公園に2人だけで遊びに行くときにいつも行っている約束事。今日は少し遠いのでぎゅーも長め。


「気をつけてね」
「「いってきまーす!」」


玄関を出て、手を振りながら歩いていく宙斗と流司を姿が見えなくなるまで見送る。宙斗は少し人見知りがあって人に声をかけるのは難しいかもしれないけどそこは流司がいるから大丈夫。逆に流司は色んなものに興味を持って違う道に行ってしまいそうだけど、宙斗が引っ張ってくれるでしょう。だから大丈夫、大丈夫……。2人が角を曲がり見えなくなった。エプロンのポケットから携帯を取り出し連絡を入れた。


「あ、円堂くん?今大丈夫かしら?」


大丈夫だけどやっぱり、心配だから仕方ない。





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