前世で僕を選んだあの子は、今世では土方さんと結婚式を挙げている。
 なんにも知らない新八さん達は純白のウェディングドレスを着たあの子と、白のタキシードを着た顰めっ面な土方さんに「お幸せに」だの「羨ましい」だの好き勝手囃し立てて、挙げ句近藤さんまで「トシをよろしく頼む」なんて笑いかけてる。唯一、僕と同じ記憶を共有している千鶴ちゃんは、祝辞に笑顔で拍手を打ちながら時折気遣わしげに僕を見上げていた。馬鹿だね、僕の記憶では、千鶴ちゃんは土方さんと添い遂げた筈だ。苦しくない訳ないのに、何処か吹っ切れたような顔で笑ってる。きみも千鶴ちゃんも、僕には本当にわからないよ。土方さんの何処がいいのか、土方さんなんて常に仏頂面で鬼のように厳しくて、恥ずかしい俳句作っちゃう人なのに。もしかしたら、これは神様が下した天罰かもしれない。天の邪鬼で近藤さんが最優先な僕はろくに想いをきみに言えず、恋仲になってもそれらしいことは出来ず、きみの望みを何一つ聞けず新選組のために一人、きみを置いて死んでしまった、僕への。だったらもう、いいんじゃないかな。苦虫を噛み潰すくらい反省したから、そろそろ許して欲しい。今度はもう、意地を張らずに何度だって「好き」と言ってみせるよ。また僕を好きになってくれるなんて過信せず、言えなかった想いを沢山ぶつけるから。それから、あのとき聞き入れなかったきみの願いを、全部叶えてみせるから。ねえ、だから。

だから来世ではきっと、僕を選んで。
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