煎餅布団のなかで、ぬばたまのような昏いよるが過ぎるのをじっと待っていた。障子の隙間からするり入り込む風がわたしのうなじをそっと撫でて、きえる。あの人がいないよるはとても寒いような気がした。そうして眠らないよう、慎重に幾ばか目を瞑っていると、控え目に障子を開ける音がする。足で畳を擦る音が聞こえたと思いきや、それはわたしのすぐ隣で終わって、頬にそっと冷たい手を伸ばしてくれる。
「お前は幸せになれよ」
 ばかね、明日にはもう歳三くんはいないのに、どう幸せになれっていうの。
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