皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは死んだ。ゼロと名乗る、素顔の見えない仮面と体に纏わせた覆い尽くすようなマントを翻す男により、民衆が囲む中で。それはまるで公開処刑のような、人々を恐怖でねじ伏せる――非道な皇帝の死を全世界に知らしめているものでもあった。生々しい映像が映し出されている、テレビには彼の表情が見えない。思えば初めから彼はそうだった。一歩でもわたしが線を踏み越えようとすると、彼は微笑みながら静かに拒絶して、最初から最後までわたしは彼の本心を知ることはなかった。だがきっとそれはわたしだけではない。恐らくミレイ会長も、リヴァルやシャーリー、カレンにナナリー、そしてルルーシュ、彼自身ですら。幾つかの嘘を重ねてそうして己の感情を隠し続けてきたのだ。そういう生き方しか、彼は知らなかったのだ。烏滸がましい、わたしは恥ずかしかった。容易な気持ちで彼に土足で踏み入れようとした、覚悟がないまま浅ましくも彼の隣にいようとした、そんな自分が。
「ゼロ!!ゼロ!!」
 窓の外側から歓声が聞こえる。恐怖から開放された、民衆の歓喜の声。聞いていられなくて耳を塞ぐ。――ねえルルーシュ、あなたはとても優しいです。優しすぎたのです。あなたが嘘付きだと知ってしまってから、わたしは涙が止まりません。
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