カカシ、私のどこが好き?思わず目を逸らした。ベッドに寝転んで本を読んでいた彼女が、急に顔を上げて言うのだ。なにそれ、オレ、言うの?お前の好きなとこ、お前に言うわけ。
「なんで目を逸らすの」
「いやーそりゃあ…なに、どうしたの急に」
「なんで目を逸らしたの」
「あーはいごめん、すみませんでした。ついね、つい」
「ひとつだけでもいいから」
顔を見ると、なんとも真剣な表情でオレを待っている。そういうとこも好きだけど。思いはするが、なかなか口にするとなると抵抗のある要求だった。この手の話題は大抵喉で唸って話を濁すことになる。しかし今回は逃げられそうにない。気恥ずかしさを隠して抱き締めたりキスをしたところで、手を突っ張って「で?」と返されてしまいそうだ。
「……好きなとこでしょ?」
観念しよう。オレは腕を組んだ。好きなとこ、好きなとこ。全部!なんて言ったら流すなとか言って怒るのだろう。
「髪質」
「へえ」
「あと…顎」
「あご」
「そ。あ・ご」
「ここか」
「そこだ」
顎を指さして笑う。私もカカシの髪も顎も好き。オレの顎をつつく。柔らかい彼女の香りがするような、しないような。あとは?彼女はオレを促す。ついさっき、ひとつだけでいいからとか言っていたくせになあ。
「あとは、お前物凄い笑ってるときに両手でこうやってするじゃない」
「こうやって?」
二人して両手で顔を覆う。指の隙間からお互いを覗く。
「これ好きなの?」
「うん、この時の肩ね、竦める感じがいいよね」
「肩!」
変態か君は!大口開けてケラケラ笑う彼女に釣られて、オレも笑った。くだらないことがこんなに楽しい彼女が、可愛くて仕方ない。ほんと、飽きないなあこの人。オレは次から次へと彼女に言い連ねた。唇とか腰とか、丸い目を見つめて伝えては赤面する彼女を見るのもまた一興。やはりオレは変態だろうか。

しかし、オレの好きなとこは、と訊くと、これには笑ってしまった。少しだけ悩んだ挙げ句、「全部!」と声を張ったのだ。お前が不満そうにすることを予期してそれを避けたオレは一体。結局彼女には勝てない気がした。仕返しに、彼女を抱き締めてベッドに潜り込んだ。





キミのすきなとこ改題
20130327
20131007編集



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