カカシせんせいとの勝負が今日も終わった。今日は漢字がいくつ読めるか戦って、せんせいはサンマが読めたけどわたしもサカナが読めたので、また引き分けだ。早いところ決着をつけないと、イカガワシイ悪の組織に木の葉が乗っ取られてしまう。帰り道は、商店街を突っ切るのが近道だ。八百屋さんの前を通りかかると、うしろから声がした。「あら、おつかい?」ちょっと大人のサクラせんせいが近付いてくる。せんせいは右手に本を2冊持っていた。せんせいたちは本と歩くのが好きらしい。
「お野菜買うの?」
「ううん、悪の組織のやつとたたかってたの」
「ああ、カカシ先生?」
「今日も勝った」
「大人のくせに時々ものすごいくだらないことするから、あの人。気を付けなさい」
サクラせんせいはとても物知りで、クスリのことも、痛い病気のことも、木登りのやり方も、オトコとオンナのことも、忍のことも、火影さまのことも、よく知っている。頼りになるし、キレイだし。とてもかっこいいせんせいだ。
「ところで、今日火影さまに会った?」
「会ってない。サボリか」
「まったくアイツは…どこで怠けてんのかしら」
サクラせんせいは長いため息をついて、火影岩を見つめた。いちばん右端にあるのが、いまの火影さまだ。せんせいはぼんやりすると、火影岩をよく見つめる。私はよく知っている。ちょっと嬉しそうな、優しい顔をする。
すこしして、んん?とせんせいが言った。首がぐっと長くなる。
「どうしたの」
「…はー」
「あ、火影さまだ」
火影岩のある崖の中ごろに、長い階段がある。そこではためくのは、白と赤の羽織り。
「アイツ………っとにバカなんだから。サボるならもっとうまくサボればいいのに」
「サボっていいのか」
「……私だってロボットじゃないもの。あいつが疲れてるなら気付くし、休みたいなら休ませたいわ」
「ふうん」
じゃあね、と言って、すこし笑った。軽く地面を蹴ると、サクラせんせいの体はひょいと飛び上がり、トタン屋根を渡っていった。かっこいい。将来はわたしも、火影さまを「まったくもう」と言って叱る、かっこいいオンナになろう。






20130728












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