例えるなら太陽のよう
どうしようもなくボキャブラリーに欠けるけど何回みてもそう思うから目を細めて今日もあいつを見る
いちねん
それが長いのか短いのかはよくわからないけど、一年ぶりに見たあいつはどうしようもなく眩しかった。
あれ、あれ、おまえそんなんじゃなかっただろ?ひとなつっこくてさ、見てるとこっちまで元気になるみたいなさ、いっつもみんなに囲まれてて、俺はそれが本当はものすごく腹立たしかったけどおまえなら仕方ないかなって思えちゃうみたいなさ、馬鹿だけどそれすら魅力的みたいなってなんだこれ。まるで俺があいつを好きみたい。
とにかくそんなやつだろ?でもなに今のおまえ全然ちがう。なになにおかしいだろ。「まえはあんなんじゃなかったのに」
目を細めてあいつをなんとなく眺めながら、だれに言うでもなく音にして空気に二酸化炭素を還元してると、じゃあ前はどんなだったのー、って無駄に元気に降りかかる声
視線を移すと田島が食いかけの焼きそばパン片手に立ってた
いつもあっちこっち飛び回ってるくせに人の独り言は目敏く聞いてんじゃねえよ。とか思ったけど別に無視する理由も答えない理由もなかったからさっきまで脳内に挙げてた「以前のあいつ」を指折り答える。もちろん魅力的だとかそのへんは全部カットして
田島は俺が全部言い終わるまでじっと俺を見て黙って静かに聞いてた。それからあいつをちょっとみた
そんなに普通にあいつを見てよく平気だな。俺なんて眩しすぎてクラクラしてまともに見れないのに。
あいつから俺に視線を移した田島はにっこりわらって
「それって今の浜田も全然一緒だと思うぞ!」
不思議そうにきっぱり言った。
え、は?なにいってんの?全然ちがうだろ。
「浜田は人懐っこいし、見てると俺も元気になるし、みんなから人気あるし、留年するくらいバカだし!」
そういってにっと笑った
だからちがうだろ。だって今の浜田はたしかに田島の言うとおりで人懐っこいし元気でバカで。あれそれって俺が言ったのと一緒?
じゃあなんであいつはあんなに眩しいんだ。くらくらするだろ。おかしいだろ。
もしもーしと目の前で手を振る田島を無視して俺は立ち上がってあいつに詰め寄る。ぴかぴかちかちか。目が眩む。ああ知ってるこれは安い白熱灯の眩しさ。左手を掴んだ。
「どしたの泉?」
「一緒に」
不思議そうに浜田が笑う。チリチリ。音を立てて俺の眼球を光が焼いていく。
「もっかい野球やろう」
チカリ。光が瞬いて強くなる。
「ごめんね泉」
笑ったまま浜田が前と同じ台詞を一字一句違わず言う。とてもとても優しい声で。
「体がついてかないんだ」
芯をジリジリと燃やして発する色のない明かり。
ああ、わかった。
もうずっと。
俺は浜田が笑らってるとこしかみてないんだ。












おまえの笑顔がすきだったのに
(太陽なんかじゃなかった)
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