どうにも境界線が曖昧
に滲んでいてサヨナラ
の形をしているように
しか見えなかった。か
ら。俺は手を掴んで逃
げ回ってたんだ。体を
引きずり心を引きずり
、振り向けば彼はもう
ボロボロにすり減って
いた。すっかり削れて
しまった彼と彼の心は
随分と軽くなっていて
、痛くて痛くて仕様が
ないはずなのに笑うか
ら俺は微笑めばいいの
か悲しめばいいのか分
からなくなってしまっ
た。        
彼がこんなにもさみし
い形になってしまった
ことはどうしようもな
く悲しかったけれど、
こうしなければ着実に
確実にサヨナラははっ
きりしていって俺たち
をどうにもならないと
ころまで連れて行って
しまう。そうだろう、
俺はそれが恐ろしくて
怖くてたまらなかった
から、どうにか逃げ切
ろうと必死だった。な
のにこいつはというと
早くと焦る俺に曖昧に
微笑むだけで動かない
。彼が何を感じている
のかまるでわからなく
ってそれがまた怖かっ
た。        
ああどうしよう!この
まま逃げ続けたら彼は
どうなってしまうかわ
からないし、だからと
いってここに留まり続
けたってサヨナラに浚
われてしまうに決まっ
てるんだ。「はまだ、」
呼び掛けた声は情けな
くなるほど焦りを内包
している。泣きそうだ
。お前が一緒に逃げて
くれさえすればそれで
いいんじゃないのかよ
。なぁ 。     
浜田はやっぱり何時も
のように曖昧に微笑ん
で、また逃げようとし
た俺の手を初めて握り
返して引いた。   
抱き締められたことは
嬉しかった。ちゃんと
暖かくて、ペラペラに
なってしまった浜田に
もまだ体温があって良
かったとも思った。で
も悲しかった。ああも
う逃げられないんだ。
悲しかった。哀しかっ
た。とてもかなしかっ
た。        









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