Crimson sky | ナノ



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 金髪の男は、左腕を後ろに押さえこまれ、殆んど右腕の力だけで這いずり自分に群がる男数名から逃れようとしていた。

掴まれてあらぬ方向に捩られた腕の骨が軋む。上がりそうになる悲鳴に必死に堪える。

着獄するや否や、ここの囚人服に着替えさせられ、蹴り飛ばされるようにこいつらの居るここに放り込まれた。

その衝撃で数歩よたる彼に、薄笑いを浮かべて近づいてきたのがこの連中だ。

思わず身構える彼の肩を平手で小突く。

『………!』

何とか踏みとどまり顔を上げた途端に、真ん前にいた男に足を掬われ、押し倒された。

カーキ色のツナギをはだけさせられ、思わず身を捩った。すると、殆んど開かれていたせいで服が剥かれ、肩が露出した状態になってしまった。

悦んだ男は素肌をたどりながら、彼の服をさらに剥いていく。

「――――っ」

服の中に入り込もうとする節張った掌に嫌悪感がこみ上げた。

一人対複数。圧倒的な不利な状況だ。

それでも、彼はこいつらの、下卑た思惑通りの結末になることが我慢ならなかった。

――いいだろう。
こんな腕の一本くらい、くれてやる。


金髪は腕一本と引き換えに、自尊心を選んだ。

強引に身体を捻らせ右拳に力を込めると、できる限りの回転を腰に加え腹に力を入れ一気に振り回した。


―――ガッ!

瞬間に、捕まれていた左腕にビリビリと痛みが走った。

それと同時に、主となって乗しかかっていた男のこめかみに鈍い掌打の音が響く。突然の反撃に面食らい、受けた衝撃に男の身体はぐらついた。

金髪はその一瞬を見逃さなかった。

今やバランスを失って傾いた男の体の隙間から、脚を引き渾身の力を込め一気に蹴り飛ばす。

自分の上から男を退けた後は、乱れる息も髪も形振り構わず後は走った。

一瞬呆気にとられた男の仲間が、罵声を上げながら追いかけてくる。



激痛の走る腕を押さえ、それに構うことなく走った。




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