トクサネのダイゴの自宅へ行ってみると珍しくそこにはダイゴがいた。いつもどこかの洞窟へ行って石を探し歩いているというのに(この前なんかわざわざカントーまで)。
「やあなまえ、おはよう。」
しかもこっちを満面の笑みで見ながら、ダイゴはひらひらと手を振った。
「珍しいのね。こっちにいるなんて。」
「誰かさんが毎年バレンタインには律儀に訪ねて来てくれてるって、ミクリから聞いてね。わざわざリーグまで足を運ばせるのは申し訳ないだろう?」
「それはどーも。」
「あれ?不満だった?」
「べつに。」
不満ではない、むしろ嬉しかったのだけれど少しだけつまらなかった。リーグのあるサイユウシティまでチョコを届けに行く途中の高揚感が好きだったから。楽しみで、すごくドキドキして、もういっそ着かなくてもいいんじゃないかと錯覚してしまうほどの。
「なまえ、」
少しむくれている私にキスをひとつ、ふたつと落とすと「どうしたんだい?」なんて問いかけてきた。とびきりの甘い声で。
「言ってごらん?」
ほら、もう駄目。私が貴方にこうされると逆らえないのを知ってるくせに。口が勝手にありのままの理由を話すとダイゴはさも可笑しそうに笑う。
「・・・子供っぽいって思ってるでしょ。」
「いや、そうじゃなくて。そうか、ふふっ・・・可愛い。」
唇と見せかけて今度は頬に口づけると、わざとらしく音を立てて唇を離した。
「でも、そのほうが僕にとっても都合がいいかな。」
「・・・?」
そう言ってすぐに上着を羽織ると足早にダイゴは扉へと向かった。
「早く追いかけておいで、僕あんまり辛抱強くないから。」
期待しているよ、といつもながらの完璧な笑顔で最後にそう言い残すとエアームドに乗って飛び立って行った。
Hurry up!!!
(早くしないとチョコだけじゃ済まないよ。)
(見せつけてやるのも悪くないけど、ね。)
10214
初のダイゴです。いまいちキャラが掴めない・・・。
とりあえずカゲツさんが涙目ですね。