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黄色のsmile

最近俺の周りをやたらうろちょろする後輩がいる。
俺よかでかい図体してるくせに子供みたいな、妙な奴に懐かれたらしい。
俺の何にそいつが惹かれる要素があるのか全く検討もつかない。
だってそいつは天才プレイヤーで、しかもモデルなんてやってる、所謂一般人の俺との差なんて歴然としていて。

「…分からん。」
「? 何がっすか?」

とぼけた顔をして首を傾げるそいつの頬を思いっきりつねってやると、間の抜けた声が痛いと訴える。

「なんなんすかいきなり!訳分かんないっす!」
「そりゃ俺の台詞だ。」

ため息をつくと、ムッとした、整った顔が俺を覗き込んだ。
瞬間、どこかで『キュン』と効果音が聞こえた気がした。
…やめろ俺じゃない。
断じて違う、と思いたい。
しかし、だったらこの速まった鼓動と引かない顔の熱を、どう説明すればいいものか。
…クソ、あぁそうだよ、ちょっと気になってるんだよこいつのこと。
だってかっこいいし。
よく分かんないけど慕ってくれてるし。
なんか、自主トレの時とかも付き合ってくれるし。
やたら一緒に帰ろうとするし。
そりゃあ期待するだろ。しないか?
…俺がおかしいのかな…。

「…お前さぁ、」
「? なんすか?」

なんでいっつも、俺に構ってくるわけ?

思わず口にしてしまった疑問に、黄瀬はその眼でただ俺を見つめる。
空気が一瞬、止まった。
それからゆっくりと息を吐き出してみた所で、漸く黄瀬が「えぇっ!?」と大袈裟なアクションを起こす。

「え…え?どうして…?」
「いや、なんとなく。最近やたら俺んとこ来るだろ。」
「あ、あの…迷惑、だったっすか?」

不安そうな顔でこちらを窺うそいつが、何故そんな顔をしているのか。
もしかしたら、なんて間違っていたら恥ずかしいから思いたくないが思わずにはいられない。

「迷惑、」
「っ!」
「…じゃねぇよ。」

途端にほっとした顔。
なんだよ。可愛いじゃねーか。

「よかっ…た。先輩に嫌われたら、俺、嫌っすもん。」

にっこり、モデルスマイルが俺にだけ向けられる。
ただの自意識過剰かもしれないけど、その時俺は確かにそう思った。



【笑顔が眩しい】

「なんでそんなに俺に嫌われたくないわけ?」

すると黄瀬は笑顔のままで、

「だって」

「先輩のことが好きなんす。」



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先輩が赤面した理由に気付くまであと6秒


up:20120727


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