story | ナノ


憂鬱です、えぇ。

憂鬱なのです。
というか、本当に嫌なんですが。

別に僕は背が低い訳ではない。
ただ、今所属しているのがバスケ部で、周りがそれこそ馬鹿みたいに大きい人たちばかりだからそれに比例して僕が小さく見えるだけ。
そんな環境で僕は今、精一杯部活をしています。


「相変わらずほっそくてちっせぇな。」

そう言って頭をぽんぽん叩く青峰くんを睨むとからかうように肩を竦められました。
その顔、最高にムカつきますね。
その横から、今度は黄瀬くんが僕の頭を撫でくりまわして髪の毛をぐしゃぐしゃにしました。

「黒子っちはそれでいいんス!」

可愛いから、と付け足されましたが、正直嬉しくもなんともないんですが。
男子で可愛いなんて言われて喜ぶと思いますか?
そのへん考えてくださいよこのシャララ☆野郎。
このイライラと蒸し暑い体育館のせいで、だんだんと頭が痛くなってきましたよ。
どうしてくれるんですか。

「何をしているのだよ。」

不意に後ろに影がさして、声が聞こえました。
彼ならこの状況から救いだしてくれるでしょうか。
…いや、彼は(悪いけど正直なところ)変人だし、妙な所で真剣に考えるから加わってしまうでしょうね…。
この暑いのに何がたのしくて大きな男に囲まれなければいけないのか。

「緑間くん…。」
「緑間っち!今、黒子っちが小さくて可愛いって話をしてたんスよ。」
「そんな話だっけ?」
「違います。シャラ…黄瀬くんが勝手に言ってるだけです。」
「酷っ!てか黒子っち、今なんて呼ぼうとしてたんスか俺のこと!」
「…(…チッ)」

ぎゃんぎゃんと喚く声が頭に響きます。
どうしてこうなったのか、というかいつの間に僕は可愛いで定着したんですか。
本人を無視して話進めるのやめてください。

「紫っちはどう思うっスか!?」

可哀想に、偶然通りかかってしまって話を振られた紫原くんが、こちらを見て迷惑そうに顔を歪めた。

「俺から見たら、皆ちっちゃいんだけど。」

…そうですね。
一回殴ってもいいでしょうか。
こう見えて僕、腕の力はあるんですよ。(紫原くんには通用しないですかね。)
今度試合のときに顔面にパス出してやろう。

「それに、ミスディレのときに小さい方が効果大きいんじゃない?役にたってるならそれでいいと思うけどね。」

前言撤回。
紫原くん、あとでお菓子を買ってあげましょう。
君がまともなことを言ってくれるとは思わなかったです。

「紫原くん、ありがとうございます。」
「ん?何が?」

そう言ってもらえて嬉しいです、と返すと「俺は思ったことを言っただけだよ。」と、結局頭をぽんぽん叩かれた。
まぁ、紫原くんは許しましょう。
自分の時と反応が違う、とぶーたれる黄瀬くんにはあとでイグナイトです。

「はいはい、いい加減練習に戻って。」

赤司くんが呆れて声をかけるまで、この傍迷惑な談義が続くのでした。


傍迷惑な談義
憂鬱です。えぇ、本当に。
小さいと言われていい気がするわけないでしょう。



その後、何故か青峰くん、黄瀬くん、緑間くんの練習メニューが倍になったとかならなかったとか。


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テツヤが小さいだって?
俺の前でもう一回言ってみろ


up:20120817


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