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マネージャーといえどもやることがいっぱいあって忙しい。テニスをしている奴等が常にお腹を空かせている理由がよくわかる。終わり際になればぐうぐうとお腹の虫が喚くのでいつも部員にバカにされていた。だってしょうがないじゃないの。今日は購買のパンを二つだけしか食べていないので気持ちが悪くなるくらいにお腹が空いていた。この前お小遣いをもらったばかりなので財布の中は潤っている。部活帰りにどこかに寄ろう。一人で行くのは寂しいので誰かを誘わなくては。奢るって言えば付いてきてくれるかもしれない。金ちゃんと千歳はたくさん食べるので勘弁だ。ホモ連中は二人だからだめだし、白石と銀さんは間食することに反対そう。謙也といるとテンションが合わなくて疲れる。誘うなら小石川か財前だ。目星をつけてコート整備している部員の中から該当する人を探していると財前と目が合った。決まりだ。

「何スか?」
「帰りマクド行かない?」
「はあ?」
「奢るから。(ポテトのSだけど)」
「……しゃあないッスわ」
「はい決まりー」

財前はめんどくさそうに首の後ろに手を当てているけど多分嫌がっているわけではない。素直になれない可愛い奴だ。

「白石ー!部活まだ終わらないのー!」
「気ぃ早すぎやわ!」

遠くから白石のツッコミが飛んで来る。コート整備早く終われ!

「先輩腹鳴りすぎちゃいますか」
「しょうがないでしょ」

財前に若干引かれつつコート整備が終わるのを待ち、白石の集合の呼び掛けに逸早く駆けつければオサムちゃんに豪快に笑われた。短い連絡を受けて帰り支度をする。ちんたら着替える財前を急かしてマクドへ向かう。

「エヘヘ何食べようかなぁ」
「食い意地張りすぎやわぁ」

道中財前に小言を言われたが気にしないことにした。ジャンクフード万歳。店につくと財前がケータイクーポンを確認する。

「先輩何食べるんスか」
「ダブチ」
「単品?クーポンありますけど」
「まじ?財前何食べる?」
「ポテト」
「Sね!了解!」
「M」
「えー」
「M」
「わかったよもう我が儘だな」

私の分がクーポンで少し安くなったからしょうがない。レジでダブチとポテトのMを注文する。ちなみに財前はポテトの揚げたて塩多目とか細かい注文をしていた。学生で賑わう店内の空いている席を見付けて座る。私がハンバーガーに手を伸ばそうとしたら、財前は何故かその手を阻止してケータイをいじっていた。

「何よ」
「ん、写真」
「ああ」

財前は確かブログをやっている。食べ物の写真を撮るとか女の子みたいだ。

「先輩」

財前は空いている手をピースしている。私も伸ばした手の指をピースにした。カシャッとシャッター音がする。財前がケータイを仕舞ったので今度はしっかりハンバーガーを掴んだ。