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「#エロ」のBL小説を読む
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HR5分前ともなればフロアだけでなく教室全体が騒がしくなる。時間ギリギリに登校してくる生徒が多いのも確かだが、朝の部活動を終えた生徒の数が多いからだ。我が校は部活動がとても盛んで、中でも自転車競技部は全国的に有名だし、夏のインターハイで何度も優勝している。そんな自慢の部の中には私の友人が何名かいて、そのうちの一人、荒北とは中学校からずっと同じクラスなので仲がよかった。彼は中学校の時、肘の故障で一度ぐれたりしたけれど、根はいい奴だし、何だかんだで友人想いだ。目付きが悪くて言動が荒々しいのが勿体無いくらい。そんな彼は自転車競技部のエースのアシストだというのだから本当にすごい。きっと才能ではなくて努力の賜物だ。
ガラリと教室のドアが開く。見れば細身の長身が無表情で入ってきた。

「おはよ」
「おー」

気だるそうにのっそり歩く荒北に声をかけると、荒北は私の席の隣で立ち止まった。

「荒北?」
「もしかして日本史課題出てたかァ?」
「出てたね」

どうやら私の机の上に乗っていたプリントを見付けてしまったらしい。部活と勉強の両立は大変そうだ。荒北は隣にしゃがみこむとぱんっと両手を合わせた。

「見してくんね?」

随分と素直に出たものだ。以前の荒北だったらまず課題をやろうともしていなかった。物理的な意味でも下から頼まれて悪い気はしない。

「しょうがないなぁ」

空欄が全て埋まった課題プリントを荒北の前にひらりと舞わせれば、「サンキュ」とありがたそうに受け取られた。昨日の夕方頑張った甲斐があった。今回の課題は得意な範囲だったし全問正解間違いなしだ。日本史の担当の先生は課題を適当な順番で当ててくるので大変なのだ。

「日本史何限?」
「3か4じゃなかった?」
「ああ…。つかそろそろ覚えろヨ」
「聞いてきた荒北に言われたくないんですけど」
「まァな」

くだらなくて中身のない会話だけど、この時間はとても楽しい。ただこの時間は短い上に忙しいのであまり話していられないのが残念だ。

「3限までには返すわ」
「遅れたら許さないから」
「わあってんよ」

荒北がははっと笑いながら自分の席に戻っていくと同時にチャイムが鳴った。数秒遅れて担任が出席簿を持って教卓に立つ。今日も一日が始まる。