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俺のことを知っている奴等は皆、俺の背に莫大な金を見る。逆に言えば、俺=兵藤、つまり俺=御曹司の息子、俺=大金のレッテルが貼られているのだから、仕方がねぇと言えば仕方がねぇ。奴等からして見れば俺はきっと歩く大金なんだろうよ。調子のいいことほざいては俺からのおこぼれを、まあおこぼれっても、俺からのだから奴等が何十年働いて得た金を棒に振るようなくらいの、そんなでっかいおこぼれを貰う為に群がっているような連中だ。まるで光に集う害虫。奴等は本心を俺に語れない、言わばコンピュータープログラムみないなもんだ。例えば冒険アクションゲームでモンスターなんかを倒すと仲間になるあれ、それをモンスターが戦わずとも自らやって来て仲間にしてほしいと懇願して来て、主人公の傍に群がり、誰が一番近くに位置するかを仲間内で競っているみたいな感覚だ。もちろんレベルが高い奴等が俺と一番近い位置に居座って手揉みして主人公の気分を良くする。主人公の気分が良くなると、主人公は周りの奴らにちっぽけな金を与えてやる。奴等はそれでうまい汁をすって、中毒になる。金が、金が大好きだから。
金が好きと言えばこんな例もある。
俺が通ってる学校の中で一番のカップルと言われていた男女がいた。俺はその女に男の前で、「50万やるからヤらせろ。」と言うと、その女は狂喜して承諾した。男の方はというと、上手く出来ていない愛想笑いで俺を見上げていた。俺は女を賎しい豚だと思っていながら、結局ヤって金を渡すと、その女は「いつでも誘ってください」と言ってきた。お前の彼氏はどうすると聞くと、貴方の為なら別れますと言ってその女は消えた。なんて醜い。人間って奴は金の前なら何でもやる。動物の中で一番賎しい生き物だ。



俺は常にクラスの中心にいて気が付かなかったが、ある時クラスに割とかわいい顔をした、だが地味な女がいた。近くにいた取り巻きにその女の名前を聞くと、夏目エリスというらしい。何でも家が貧乏だそうで、俺とは天地の差。だが、俺の記憶によると、こいつだけ唯一胡麻擂りをして来なかった気がする。だが結局そいつも金に目が眩むだろう。試してやろうと思い、俺は夏目の元へと向かった。

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