×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


「お客さま、店内でのライターの使用は・・・」
「ああ、ごめんなさい。見てただけよ、もう火はつかないの」
「そうでしたか。申し訳ありませんでした」
「いいのよ。アタシも紛らわしいことしてごめんなさいね。火がつかないなら捨てればいいんだけど、どうにも捨てられなくって」
「思い出の品ですか?」
「うふふ、そうね。そうなのよ。いいこと言うわね」
「ありがとうございます」
「アタシはギャリー。アンタは?」
「エリスです」
「エリスね。ねぇ、エリスは美術館って好きかしら?」
「美術館ですか?そうですね、あまり行ったことがありません」
「もし行くようなことがあれば気を付けなさいね。何があるかわからないわよ」
「具体的にはどういったことが?」
「美術品に襲われたり」
「まさか」
「そうよね、それが普通の反応だわ」
「ギャリーさんはジョークが得意なんですね」
「なんとでも言いなさいよ、もう」
「あれ、本当のことだったんですか?」
「どっちでもいいわよ」
「拗ねないでくださいよ」
「拗ねてないわよ!ところでエリス、こんなところで油売ってていいの?」
「見ての通り暇なものですから。立地が少し悪くて目立たないんですよ、このお店」
「あら、でもアタシは好きよ。車の音がしなくて静かだし、紅茶とケーキは美味しいし。雰囲気もいいわ」
「わ、ありがとうございます!嬉しい」
「暇なら話し相手になってくれない?一人は寂しいもの」
「もちろんです!自分用に紅茶淹れようかなぁ。ギャリーさんはおかわりどうします?」
「じゃあ頂こうかしら」
「はーい。この一杯はサービスしますよ」
「あらいいの?ありがとう」
「いいえー」
「アンタって以外と明るいのね。入った時は静かな子だと思ってたけど」
「中身が意外だってよく言われます。初めから馴れ馴れしいのも嫌でしょう?」
「人によるかしら。アタシは気にしないけど」
「ギャリーさんって見かけ少し怖いけど打ち解けやすい方ですよね」
「どういう意味よ」
「親近感わきますー」
「・・・深く考えないでおくわ」
「あはは、はいどうぞ」
「ありがとう。いいにおい」
「ありがとうございます。ところで、ギャリーさんはどうしてこのお店に?」
「どうしてって、なんとなく歩いてたのよ。そうしたら見付けたの」
「やっぱり偶然しかないんですかねぇ。ホームページも開いてないし、特に紹介されてないし」
「経営危ないの?」
「直球ですねぇギャリーさん。赤字じゃないですよ、すごく黒字ってわけでもありませんが・・・。新しいお客さまはあまり来ませんけど、リピーターになってくださる方が多いので」
「お客がいないのは時間帯のせいかしら」
「そうかもしれません」
「今度私のお友だちも連れて来るわ」
「ギャリーさんのお友だちっていうと、そちらの?」
「失礼ね!女の子よ!」
「女の子?」
「まだ小さいの。美術館で会ったのよ」
「さっきのお話の」
「そうよ。イヴっていうの。可愛いのよ」
「イヴちゃん。早く会いたいです」
「その時はエリスにはたっぷり美術館でアタシたちがどんな怖い思いをしたのか教えてあげるわ」
「楽しみにしてますね、ギャリーさん!」

back