けたたましい叫び声が購買に響き渡った。生徒は何事かとその方向を見た。その注目の輪にいたのはハジメとエリスだった。どよめく購買に居心地悪そうな顔をしたエリスはハジメの腕を引き購買を後にした。
「う、うっオレのメロンパンが・・・。」
「ちょっ、ハジメちゃん、泣かないの!」
話を少し遡らせると、購買の最後のメロンパンをエリスが購入し、その場で一口食べていたところにメロンパンを買おうとしていたハジメが遅れて来て完売したメロンパンに泣き叫んだらしい。エリスはどうも後味が悪いらしく、一口齧られたメロンパンをまだ持っていた。
「ああオレはこれからどう生きればいいんだ・・・。」
頭を抱え誰もいない渡り廊下で膝をつく。そんなハジメがいたたまれなくなりハジメとメロンパンを見比べたエリスは大袈裟な溜息を付き、ハジメの前にしゃがみ込んだ。
「食べかけでいいなら、あげるけど・・・。」
はたと泣き止んだハジメはじっとエリスを見つめた。そしてぽつりと「いいのか?」と問うと、エリスはゆっくり頷いた。
「エリスー!!」
「うわ、っと」
急に抱き着いてきたハジメに反動で尻餅をついてしまったエリスは赤面して口をぱくぱく、魚のようにしていた。
「は、はは、ハジメちゃん・・・?」
「お前はマジでいい生徒だ!オレは今猛烈に感動している!」
バシバシと背中を叩くハジメになすがままにさるているエリスは緊張でメロンパンを落としそうになった。やがてハジメがエリスから離れると真っ赤になっているエリスを見てつられて赤くなった。
「わ、わり」
「う、ううん」
暫くしてたまたま近くを通ったDTOが声をかけるまで真っ赤になったまま固まっていた二人であった。
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