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准くんの手は、優しすぎてもどかしい。彼の性分なので仕方がないのかもしれないけど、少しでも私が普段と違う反応をすると、逐一動きを止めて顔色を窺うし、最初から最後までずっと丁寧だ。大切に愛されていることを実感しているし、そのことに対して今まで不満を持ったことはない。けど、そこまで労わらなくても私の身体は傷付いたりしないし、准くんになら少しくらい乱暴にされたって構わない。なにより私は、いつも優しい笑みを浮かべる准くんの、余裕のない表情を見てみたい、と思っている。
そんな准くんの表情を見るにはどうしたらいいかと考えを巡らせた結果、いや、正確にはインターネットで検索した結果、とあるドリンク剤に辿り着いた。お互い未成年なのでお酒には頼れないし、もうこれしかないと思ったのだ。私はそれを通販で購入して、届いたのが先週。そして私は、怪しげな瓶に入った液体を飲んで、准くんを部屋に招いたのだった。

「名前? どうしたんだ」
「准くん……」

飲んでからどれくらいで効き目があるかわからなかったので先に飲んでしまったが、准くんと顔を合わせた時にはすでに効果が出ていた。心臓がばくばくして、大事なところがなんだか熱い。この機会を逃したらだめだと思い、来たばかりの准くんをベッドに押し倒す。准くんはびっくりした顔で私を見つめて、様子がおかしい私を心配してくれている。でも私が見たいのはそんな顔ではない。

「何かあったのか? 話を聞くから一回落ち着こう」
「いや……」
「名前?」
「准くんは、っえ、えっちな私はいや……?」
「えっ」

口籠もりながら言う私の言葉に、准くんは目を丸くしてほんのりと頬を染めた。口で説明するのが恥ずかしかったので、私が飲んだ空き瓶を見せる。准くんはラベルに書いてある文字で全てを察したのか、更に頬を赤くした。

「どこでそんなもの……」
「准くん、ごめんね」

私は枕元に置いていたもう一本の瓶の蓋を開けて、口の中に液体を半分流し込んだ。そして、准くんの口を塞ぎ、とろとろとそれを流し込む。准くんは驚いていたけれど、どうにもならないと思ったのか、こくりと喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。残りの半分も同じようにして、全て飲んでもらう。
相変わらず心臓がばくばくして、この状況に興奮してしまっているのか、はあはあと息が荒くなっている私を、准くんが唇を結んで見上げている。薬の効果なのかプラシーボなのかわからないけど、今日はすごく大胆になれる気がして、准くんのベルトを外す。

「名前、本当にどうしたんだ? こういうのはあんまりよくないんじゃ……」
「……今日は悪い子の名前なの!」
「え、あ、っ……」

ジッパーを下げて、下着の上から唇でかぷりと噛み付いた。ここまで来たらもうどうにでもなればいい。はぐはぐと唇を動かしながらズボンを下ろしていくうちに、准くんのものが硬くなっていく。

「名前……」

下着を少しずらして、現れた先端を舐めながら竿に手を添える。准くんは意外にも抵抗しないままで、口元を手の甲で隠しながら私を見ていた。もしかしたら、もう薬の効果が出ているのかもしれない。

「っ、は……。ん……」

私の舌の動きに合わせて吐息を漏らす准くんは、眉を潜めて切なげな表情をしていた。

「気持ちいい?」

いつもなら准くんが私にそう訊くのに、今日は私が訊いている。すごく無敵の気分で、どんな恥ずかしいことも出来てしまう気がした。
准くんはこくりと頷くと、私の頭を撫でて「でももういいよ。ありがとう」と恥ずかしそうに言った。

「なんだか心臓がすごいんだが、あれは大丈夫なやつなのか……?」
「大丈夫、だと思う。いっぱい調べたから」

肘を立てて上体を起こし、はあはあと息をしている准くんに跨る。そして、顔の前まで詰め寄って、目の前でワンピースのスカートをたくし上げた。

「准くん、っ、ぬ、脱がせて……」

自分でも、下着の中がどうなっているのかわかっていた。准くんは困ったような顔をしていたが、私の下着に手を掛けて、ゆっくりと下ろしてくれた。くちゃりと音がしたと思えば、下着に付着した愛液が糸を引いていた。それを目の前で准くんに見られている。あまりの恥ずかしさに、まくったスカートで口元を隠して目をつむる。すると、准くんの指がぬるついた私の蜜部をゆっくり滑って、指が入って来た。腰が引けそうになるが、腰に手を添えられてしまって逃げられない。

「あ……、ふ、う……」

にちにちと中をいじられて、すぐに抜かれる。見ると、准くんの指が私の愛液で光っていた。そしてその先に、見たことがないくらい余裕がない表情の准くんがいた。きっと、本当にこのまましてしまってもいいんだろうか。でも断ったら私を傷付けるんじゃないだろうかなど、葛藤しているんだろう。

「准くん、好きなようにしていいんだよ」
「名前……」
「私、いつも優しい准くんも好きだけど、もっと恥ずかしくなりたい」

准くんの濡れた指を取って、口に含めて舐め取る。准くんはごくりと喉を鳴らし、震える声で私の名前を読んだ。反転した視界を覆い尽くす准くんの表情はまさしく私が見たかったもので、私は全身が震えるのを感じながらそっと微笑んだ。



20211028
友人のお誕生日に書いたものでした。

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