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付き合うまでに行った無駄な努力は数知れず。私はかなりの紆余曲折を伴って風間さんに告白をしたわけだが、当の本人はそんなことは知らない。
ダメ元だったので風間さんが私の告白を受けてくれたことには心底驚いたが、「俺も以前から好きだと思っていたが?」と普段と何も変わらない表情で言ってくれた。嘘なのか本当なのかわからないが、嬉しくて膝から崩れ落ちそうになった。
そんな風間さんとの楽しいお付き合いは順調、というわけでもなく、未だにキスすらしていない。風間さんが奥手なのか、そもそもそういった欲が全くないのかわからないが、私はもう風間さんと触れ合いたくて仕方がない。だがそれを素面で言う勇気もなく、ついお酒の力を借りてしまった。
私もそこまで強くはないが、風間さんはお酒に関してはボーダー内最弱の部類。酔うと人が変わったようになるので、ノリでキスくらいならしてくれるだろうと思ったのだ。それが間違いだった。

「待っ、待ってください風間さん!」
「誘ったのはそっちだ」
「それは、そうなんですが……!」

私は今、ラブホテルのベッドに押し倒されて、すでに上半身裸の風間さんに服を脱がされている。
顔に似合わないバキバキの腹筋を凝視しつつも、とりあえず抵抗してみるが無駄なのは知っていた。それでも心の準備くらいはさせてほしかった。

「何が不満なんだ?」
「だって、まだキスも……」
「じゃあするか」
「へっ、んっ」

手首を掴まれて、身動き出来ない力でベッドに押し付ける強引さとは対照的に、風間さんはあまりにも優しく私に口付けた。全部の神経が唇に集まっているのではないかと思うほどの気持ち良さに、これまで抵抗していたはずの身体から力が抜ける。たった一回のキスで大人しくなった私を見て、アルコールで目がとろんとなっている風間さんがふっと笑った。やけに色気があるその表情にムラムラしてしまって、開放された手で自らブラジャーを外す始末だった。

「あ……」

差し出した胸にいきなり吸い付かれて、ぢゅっと音が鳴る。
風間さんとはもっとこう、語らうようなセックスをするものだと思っていたが、こんな風にがっつかれたら、これまで我慢していた性欲が暴発してしまいそうだ。でもそれで引かれたら泣いてしまう、と頭の中でごちゃごちゃ考えていると、風間さんの指が下着を割って入った。

「ひぅっ」
「濡れているな」
「言わないでください……」
「報連相は基本だろう」

やっぱりこの人、酔っている。
とんちきなことを言われているのに、風間さんの指が割れ目を往復したり、焦らすように第一関節の辺りまで出たり入ったりするので、身体が痺れてくる。
奥まで入れてほしくて腰を揺らしていると、「我慢がきかないな」と怒られてしまった。あの風間さんに羞恥心を煽られるなんて、色んな意味で正気でいられない。

「指、入れてください」

下着を脱ぎながらお願いをすると、風間さんは満足そうな顔で指を二本挿入して、ゆっくりと動かした。それがまた焦ったくて、風間さんの動きに合わせて腰が動いてしまう。

「動くな」
「あっ、だってぇ。風間さぁん」
「仕方がない……」
「んあ! かざっ、あん」

指の付け根までぐっと押し込められて、ぐちゃぐちゃと掻き回される。それだけならまだ耐えられたかもしれない。

「あ! やっ、あっあっあ、イッちゃいますそれ、はあ、あ、あ!」

激しく抜き差しされたままクリトリスを舌で弄られて、いとも簡単にイッてしまった。
びくびくしている私を見下ろしながら、風間さんは濡れた指を舐めると、私に覆い被さって枕元のコンドームを取ろうと手を伸ばした。私の顔の前で風間さんの乳首が左右に揺れていて、思わず舐めてしまう。風間さんはびくりと震えると、「大人しくしていろ」と私を諫めたが、それをあえて無視して舐め続ける。舌先に力を入れて弾くとあまりにもセクシーな吐息が私の鼓膜を叩いた。堅物そうな風間さんが乳首に弱いと知って興奮しないわけがない。

「名前」

頭を押され、枕に沈められる。風間さんはゴムを開封すると、それを着け始めた。
酔っていてもちゃんとゴムしてくれるんだ、さすが風間さん、と謎に感動しながら待っていると、がばっと足を開かされ、そのまま挿入された。酔っている時に誘った私が悪いのだが、声掛けなどがあればもっと嬉しかった。
風間さんは私の頭の横に手をつくと、ゆっくりと腰を動かし始めた。だんだん良くなってきて、枕を掴んではあはあと息をしていると、風間さんの動きがぴたりと止まる。

「風間さん……?」
「かわいいな」
「えっ!?」
「聞こえなかったのか?」
「聞こえ、え!?」

うれしい。素直にうれしくてめちゃくちゃ驚いてしまった。
風間さんはそういうことを口に出したりしないので、例え酔っ払って据わった目をしているとしても、かわいいなんて言われたらうれしすぎる。ニヤけそうになる顔を頑張って堪える。すると風間さんの赤い瞳が一瞬細まり、次の瞬間に私の視界が爆ぜた。

「ーーっ!?」

止まっていた呼吸をなんとか再開させる。
何が起きたのかわからなかったが、どうやら風間さんに突かれたらしい。間髪入れずに押し込むような激しいピストン運動をされて、されるがままに喘ぐ。

「んあ、はあっ、まっ、かざまさん、まって、ひうっ、あっあ、あ、あ」

逃げようとする私の身体をきつく抱き締めた風間さんの荒い呼吸が耳元で聞こえる。風間さんの引き締まった身体を私も抱き締めて、されるがままイッてしまった。少しして風間さんの動きも止まり、肩で息をしていたので、風間さんもイッたことがわかった。
風間さんは私の中から自身を引き抜くと、ワイルドにゴムをびっと外し、ティッシュに包んでゴミ箱に捨てた。あっという間の出来事に横たわったまま放心していると、ばさりと毛布を掛けられた。

「か、風間さん……」

私を抱き枕にした風間さんから寝息が聞こえる。
まさか、この一瞬で寝たのか……?
くっ付いて眠れて嬉しいやら、ピロートークがなくて寂しいやら、色々な感情で頭が混乱している。
明日の朝、アルコールが抜けた風間さんはどんな反応をするのだろう。もしチェックアウトまで時間があれば、今度こそ語らうようなセックスがしたい、と思いながら、私は風間さんの頬をつついた。


20211106
友人のお誕生日に書いたものでした。

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