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両手の指先から凹凸のある脇腹に触れる。指先、指の付け根、手のひらと徐々に上に滑らせるようにして触れていくと、私の手はちょうど穂刈の胸で止まる。穂刈の肌は汗でしっとりと濡れていて、ふっくらと温かい。好きな人だからだろうが、汗の不快感などは全くなくて、むしろ私の肌に吸い付くようで好きだ。胸から鎖骨を通り、肩に手を滑らせて、腕の輪郭をなぞっていく。手首に到達したところで、そっと手を離した。そんな風にして穂刈の息が整うのを待っていると、前髪を掻き上げるように頭を撫でられた。

「本当に好きだな、身体に触るの」

私の中に入っていた穂刈の身体の一部が引き抜かれたことで、淡い快感が走る。ため息混じりに「うん」と肯定すると、穂刈はふっと口角を上げ、私の腕を優しく引いて上体を起こしてくれた。穂刈は精液が溢れないようにコンドームを外して、手慣れた様子で口を縛っている。私はそれを見つめながら、「ねぇ」と話し掛ける。

「量って普通みんなそんな感じなの?」

捨てようとしていた使用済みのコンドームに溜まった精液をぷにぷにと弄りながら見上げると、穂刈は無表情のままわずかに首を傾げた。
私は穂刈が初めての相手なので、ほとんどのことが彼が基準だ。女友達とした下世話な話によると、穂刈が一回に出す精液の量は、話し合った結果多いのではないかという結論に至った。だからなんだという話なのだが、なんだか気になってしまう。

「見たことねぇよ。他人のは」
「まあ、そうかぁ。ほら、これってタンパク質だっていうじゃん。穂刈って筋トレ趣味だし、そういうのが関係してるのかなぁなんて」
「だとしたら全員量が多いってことになるな、筋トレしてる男」
「確かに……」

賢者タイム中だろうに、私のくだらない質問にちゃんと答えてくれるあたり、穂刈は優しい。私はうつ伏せに寝転がり、ゴミ箱に手を伸ばしている穂刈の股間に鼻先を近付けた。私の愛液で濡れた陰毛を掻き分けて、少し柔らかくなったそれに舌を這わせる。なんとなくゴム臭いそれを唾液で濡らして、先端に残っていた精液を丁寧に舐め取っていく。軽く手でしごくと下を向きかけていたそれはぴくりと反応し、硬さを取り戻していった。
これも下世話な会話によって知ったことだが、友人のセックスは基本的に一回射精したら終わるらしい。私も初めの慣れないうちは一回で終わっていたが、このところ三回くらいは普通にしてしまう。しかも相変わらずの量なので、やはり穂刈が特別なのかもしれない。
普段のクールな印象とは打って変わり、セックス中の穂刈はかなり情熱的で、結構がっついてくる。身体も大きいので、押し倒されるとクマに襲われている人間のようだ。そんな男の子が、普段教室で友人の会話を静かに聞き、薄く微笑みながら相槌を打っている姿を見ると、そのギャップにドキドキしてしまう。
穂刈とセックスするようになり、私もだいぶ体力が付いた。終盤私がバテても穂刈だけはぴんぴんしているのが悔しかったので、穂刈ほどではないが身体を鍛えるようになったのだ。そのおかげで、下っ腹に付いていた贅肉が消えた気がする。
陰茎からちゅぽんと口を離す。赤黒く、てらてらと怪しく光って、血管が浮き出ているカッコいいちんこが現れる。カッコいいちんこだなんて口に出して言わないけど、言ったら穂刈はどんなリアクションをするだろう。見掛けによらずノリはいいので、面白い返事が返ってくるかもしれない。
穂刈の膝に跨り、肩に手を置いて唇を触れ合わせる。穂刈は私の口の中に舌を侵入させて、息継ぎすら出来ないほど情熱的なキスをしてきた。私の口の中を這い回る舌に翻弄されて、くらくらしてくる。身体を密着させると、私のお腹に穂刈のものが当たった。対面座位のような体勢なので、まるでここまで入るぞと示されているようだ。
酸素を吸い込むために大きく口を開けると、穂刈は私の頭を両手で抱え、至近距離でじっと見つめた。肩で息をする私を、猛禽類のような鋭い瞳が捉える。こうされると、逃げ道を絶たれたように感じて、興奮が高まってくる。

「いいか? 挿れて」
「うん、きて」

腰を浮かせて、私の中心と穂刈の中心をゆっくりと合わせる。亀頭が私の膣を広げる感覚に、この先の快感を想像してぶるりと震えた。ゆっくりと腰を落としたつもりだったのに、いつもより滑りがよくて一気に根元まで入ってしまう。

「名前、んっ」

何か言おうとした穂刈の唇を塞ぎ、腰を動かして馴染ませる。といっても一回目の行為でぐちょぐちょになってしまっているのでこの行為にあまり意味はない。穂刈が私のお尻を掴んで上に持ち上げた。動きの補助をしてくれているのかと思い、膣を締めて思い切り腰を落とす。ごりごりと穂刈のカリが私の中を引っ掻くようで気持ちが良い。もっとめちゃくちゃになりたくて腰を振り続ける。

「あっ、んあっ、穂刈っ、気持ちいいっ」

挑発するためにわざと耳元で喘ぐ。息を荒げている穂刈は、「責任取る、何かあったら」と呟くと、私を押し倒して膝の裏を押さえ付けた。そしてばちゅばちゅと腰を打ち付けられる。

「んっ、あ、はあっ、うぅー、んはっ、穂刈ぃ」
「はっ、名前っ」

快感から逃げようとする身体を抱きしめられた私は、必死に穂刈にしがみ付いた。正常位の時、私はほぼマグロ状態と言ってもいい。穂刈のピストンと私の動きのスピードがどうやっても合わないので仕方がない。その分騎乗位の時は頑張っているつもりだ。穂刈の逞しい首筋を甘噛みしながら、打ち付けられる感覚に身を任せる。

「好きっ、穂刈好きっ、あんっ、すごいっ」

方向転換して、両腕を後ろで抱えられながらバックで突かれる。上体を起こすバックは体勢がきつくて苦しいが、お尻の肉が穂刈にぶつかる音がいやらしいし、好き勝手されているみたいでわりと好きだ。だが、もっと好きなものがある。

「穂刈、アレしてぇ」
「なんだ、アレって」
「抱えるやつっ」
「ああ、アレな」

そう言うと、穂刈は私を解放してベッドの横に座った。のろのろと穂刈に跨って挿入し、首に腕を回す。すると穂刈は私の膝裏を抱えながら、ゆっくりと立ち上がった。私の身体が重力によって下に落ちていき、その分穂刈のものが深く挿さる。私を支えるものが自分の腕と、穂刈の腕だけになる。

「ちゃんと掴まってろ。落ちないように」
「んっ、あっ! ん、んっん、んっ!」

ゆさゆさと前後、上下に揺すぶられて、膣の中を掻き回される。私は俗に言う駅弁という体位がとてつもなく好きだ。私の全てを預けても支えてもらえることが嬉しいし、人間一人を易々と抱えて、なおかつ動かすことが出来る穂刈の鍛えられた身体が好きだ。きっとこんなことしているのは、クラスの中でも私たちだけに違いない。

「穂刈、イきそっ、イっていっ?」
「離すなよ、手を」

あれだけ動いたというのに、なお激しく揺すぶられて、私は果てた。穂刈の胴を足で挟んでびくびくしている間、穂刈は私の痙攣が治るのを待ってくれて、私の首元に鼻先を寄せて深呼吸している。私の身体からだらりと力が抜けたのを感じると、穂刈はゆっくりとベッドに座った。息を整えながら、汗が滴る穂刈の鎖骨を舐める。しょっぱい。

「オレもイきてぇな、そろそろ。だが確認することがある、先に」
「ん……?」
「わかってやってるだろ? ゴムのこと」
「あは、バレてた……?」

ぺろりと舌を出すと、穂刈は当たり前だと言うように頷いた。ゴムをしないでセックスするのは初めてだが、ナマの方が気持ち良いというのは本当らしい。

「興味があってつい……。ごめんね?」
「いや、悪かった、オレも。着けとくか、今から」
「穂刈がよければこのままシてほしい……」
「無理だぞ、流石に中は」
「わかってる。だからね、掛けて?」

ぎゅう、と膣を締め上げて、穂刈の乳首を舌先でいじる。ちろちろと転がすように舐めると乳首が勃ってきて、穂刈が吐息を漏らした。あまりにも色っぽいその声に、私の興奮が呼び戻される。
穂刈は私の後頭部を支えてそっとベッドに寝かせると、自身の親指を舐めて私のクリトリスを撫でた。そしてゆるゆると腰の動きが始まる。

「あっ」

ぞくぞくとクリトリスから迫り上がる快感と、中を引っ掻かれる快感が同時に襲ってきて、たまらず枕を掴んだ。先程まで激しくされていたせいか、緩い動きなのに身悶えするほど感じてしまう。なんとなく笑っているように見えるのが悔しくて、私も腰を動かす。

「負けず嫌いだな、相変わらず」
「だって穂刈にも気持ち良くなってほしいんだもん」
「気持ち良いぞ、いつも。ほら」
「お゛っ」

ぐんっと深く突かれて、全く可愛くない声が出てしまった。恥ずかしくてうう、と目を細めると、にやりと笑った穂刈が私の胸を揉みしだいて、乳首をきゅっと摘んできた。こうなってくるともう何をされても気持ち良くてわけがわからなくなってくる。

「うぅ、あ、ほかっ、うー」
「はあ、わかんねぇよ、っ、何言ってんのか」

頭を撫でる手付きは優しいのに、荒々しくなっていく腰の動きのギャップに視界が白む。穂刈も限界が近いのか、私を労りつつも好き勝手に動き始めた。

「あっあ、んくっ、はあ」
「っ、出すぞ」

私がイきかける一歩手前で引き抜いた穂刈は、私のお腹の上で陰茎を数回しごいた。その動きに合わせてぴゅる、と精液が飛んで来て、私のお腹を濡らしていく。こうしてまじまじと射精するところを見たことがなくて、深く息を吸いながらじっと見つめる。射精中の穂刈の表情の余裕のなさが堪らない。

「わ……」

胸にまで飛んで来た精液を指で拭っているうちに射精が終わったのか、穂刈が呼吸を再開した。初めて身体に掛けられたけど、起きたら股の方に流れていってしまいそうで動けない。しかも早速腰を伝ってシーツの方に流れてしまっている。

「穂刈、なんか大変かも……」

わたわたとティッシュを探すが、どうやら手の届く範囲にはないようで穂刈に助けを求める。のっそりとティッシュの箱を私の手元まで持って来てくれたので、二人掛かりで身体を拭く。余韻も何もない。

「なんか想像と違った……」
「オレはよかった、もうやらないが」
「はぁい……」

一通り身体が拭けたので、シーツに流れてしまったものを拭き取りつつ、下着を履く。

「お風呂入っていく?」
「まだ帰って来ないか、親は」
「早く入るに越したことはないけどまだ大丈夫だよ。行こっ」

ボクサーパンツだけを身に付けた穂刈の腕を引っ張り、お風呂場に連れて行く。おそらく浴室でもしてしまうだろうと思って、念のためゴムを持っていることに気が付いたのか、背後でふっと笑い声が聞こえた。


20211020
リクエストありがとうございました!

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