×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


当真の腹に手を突いて、腰を前後に動かす。中から抜け出さないように注意しながら好き勝手に動いているが、当真は相変わらずにやけ面のまま私を見上げているだけで、何も反応を示さない。それどころか、今にもスマホでも見始めそうなくらいの余裕がある。むっとして腰の動きを速めると、当真はふっと笑って私の足を撫でた。

「カノジョがエロいと楽で助かるねぇ」

カチンとして、当真のスネ毛を毟ると、「いってぇ」と眉を潜めたが、口元は歪んだままだ。この顔から余裕がなくなるのが先か、私の体力がなくなるのが先か、すでに予想がつくところがまた憎たらしい。

当真はどちらかというと性欲が強い方だと思う。脈絡なく押し倒してきて、その後の予定が潰れることもザラだ。一回の行為がゆっくりで、とんでもなく長いこともあれば、あっという間に終わってしまう時もある。そして最も悩ましいのが、当真の性欲は強いくせに何故かムラがあるということだ。
こちらの都合は一切お構いなしに襲うくせに、いざ私から誘うと「気分じゃねーなぁ」と、のらりくらりと躱されてしまうことがある。それでもしっかりと勃起だけはするので、今日のように私が動いて、当真はただ寝そべるだけ、といった日がごく稀にあるのだ。
疲れてる、と言われてしまったらその通りなので、何も言い返せない。当真はボーダーの中でもかなり上のランクの隊にいるらしく、後輩の育成もしているらしい。そのため任務で長期間連絡が取れないこともある。
そういった期間があるのはこちらも承知で付き合っているので構わないが、任務が終わって私の部屋に来た途端、会話をする暇もなく玄関のドアに押しつけられ、服を着たまま立ちバックで犯された時には、長期間会わないとこちらの身が持たないな、と思ったものだ。
それなのに今日の当真ときたら、私がしたいと言うと、「してぇの?」とおうむ返しをして来た。この時点で今日はダメな日だと察したものの、生理明けでどうしようもない性欲を持て余していた私は、当真を押し倒してしまった。当真は抵抗はしなかったが、からかうような目で私を見上げると、どうぞ、とでも言うように片手を前に出して首を傾げた。そういった姿すら様になってしまうのが、この男の好きな部分でもあり、嫌いな部分でもある。

「んっ、はあ、はあ……」

絶望的に体力がない自分が恨めしい。先程から少しよくなると、すぐに息が上がって動きを止めてしまう。イけないもどかしさが永遠に続いて、頭がおかしくなりそうだ。いっそ中に挿れたままクリトリスでイってしまおうか、と思ったが、当真の上に跨ったまま自慰まがいなことをするのは嫌だ。
肩で息をしていると、顔を上げた当真が、私の胸を下からわざと揺らすように撫でた。そのまま手を枕にするように頭の下で組み、目を細める。

「ん、もう終わりか? 体力ねぇなぁ」
「当真だって、はあ、ないくせに……!」
「つっても俺はお前のことちゃんとイかせてるじゃねーか」
「ぐっ……」
「ほらな、反論出来ねー」

悔しくなって、少しでも当真の顔を歪ませようと、膣を締めて上下に動かす。ぱんぱんと肉がぶつかる音が室内に響いた。当真が「おっ」と声を上げたので、どうだ、としたり顔をしてやると、「やるねぇ」なんて他人事のように言われる。その一言で疲労が振り返して来て、大きく息を吸い込みながら当真の身体に折り重なった。

「当真ぁ……」
「ん〜?」

少しでも当真をその気にさせようと、首筋を舐めたり、服の上から乳首をいじる。当真はそんな私の背中から尻をするりと撫でると、「しょうがねぇな〜」とどこか楽しそうに言った。

「名前チャンのお願い聞いてやるか」
「とっ、んぎっ!」

がっと腰を掴まれたと思った瞬間、当真が下から突き上げて来た。油断していたのもあって、突然襲ってくる快感に無防備な声を出してしまった。

「あっ、あ゛っ! やっ、まっ、あ、あっ!」

当真の首元に顔を埋めながら絶頂を迎えた。当真はびくびくと跳ねる私の腰をぺちんと叩くと、鼻から抜けるようにせせら笑う。

「イくの早ぇって。こんなすぐイけんなら自分でも出来ただろ」
「はあっ、はあ……」
「名前はいつまで経っても騎乗位上手くなんねーなぁ」

うるさい、と反論したかったが、その通りなので何も言い返せない。あれだけ自分で動いてイけなかったのに、当真に数秒間突かれただけで簡単にイってしまうなんて、体力もなければ才能もないのだろうか。しかし、待ち望んでいたものがあまりにも気持ち良くて、全てどうでもいいことのように思えてくる。

「まぁ、ドエムだからな」
「なっ、ちがっ」
「ほら、寝ろって」

当真が起き上がり、挿入したまま肩を押されて押し倒される。器用にシャツとボトムスを脱ぎながら、ねじ込むように腰を動かされた。そして横を向かされ、片足を持ち上げられてしまう。

「感謝してくれよ?」
「あっ! やっ、あん!」
「子宮口こうされんの本当好きだなぁ名前チャン」
「あう゛っ、ぐっ、ん、ん、あ゛!」
「はっ、すっげー声」

振動させるように腰を動かされ、身体が跳ねる。先程一回イってしまったので、子宮が降りてきているのだろう。加えてこの深く挿さる体勢だ。シーツにしがみついて必死に快感を堪えようとするが、自分の意思ではどうにもならない下品な声が抑えられない。

「はあー、はあ、あ゛ぐ、っ、ふ……。と、当真っ、あっ、一回、休ませて……」
「おいおい、さっきまで動いてほしそうにしてたくせに、もうギブは流石にねぇだろ」
「ほんとにっ、つらい」
「しょうがねぇなー」

陰茎を引き抜かれ、足を下ろされた。横になって息を整える。すると当真は暇を持て余したのか、私の尻をもて遊ぶようにして揉んできた。胸といい尻といい、当真はそういったものを揺らすのが妙に好きだ。

「名前、うつ伏せ」
「ん……」

大人しく言われた通り体勢を変える。無防備に背中を向けるのは若干不安だが、こうしているほうが回復も早そうだ。そう思ったのも束の間、当真が私の腰に手を回し、持ち上げた。

「えっ」
「ツメが甘ぇのよ」
「あっ!」

腰を引き寄せられて、一気に挿入される。逃げようと思ったものの、尻の下に座られてしまったため動けない。足をバタつかせて抵抗しようとしたことすら見透かすように、その体勢のまま両足首を掴まれてしまった。

「大人しくしとけって」
「まだっ、休憩終わってない!」
「んなの待ってたら萎えちまう」
「嘘ばっか!」

当真がゆるゆると腰を動かし、突然深いところまで突き上げられる。

「あ゛ぁっ! やっ、だめ!」
「名前の『だめ』は『もっと』って意味だろ?」
「んあっ、うっ、うぐっ」

緩やかな動きと、予測できない深い突きに翻弄されたまま、なす術もなく喘ぐ。ぎゅうっと無意識に締まる膣から、ぞわぞわと快感が迫り上がってきた。

「やあ! イく、イくっ、イくからあ! っぁ!?」

ぱんと肉が打つかる音がしたと思った瞬間、視界が弾けた。声にならない悲鳴を上げて、ぶるぶると身体が痙攣する。シーツを握り締めてどうにか意識を保っていると、背後から含み笑いが聞こえた。

「ポルチオ当たっちまったか?」

おそらく狙って突いたのだろう当真は、私の尻を掴むと、痙攣し続けているにも関わらず、再びポルチオをぐーっと押してきた。

「っか、あーっ、はあっ、もう、やっあ!」
「悪りぃな。ムダな動きはしたくねぇんだよ。職業病だなこりゃ」
「も、もう許して……」
「俺がイくまで、なっ」
「ああっ!」

それからの記憶は曖昧で、当真がイくまでどれくらいの時間が掛かったのかすらわからない。もしかすると、途中で意識を失っていた可能性もある。
ふと気がつくと当真はベッドに腰掛けていて、ペットボトルの水を飲んでいた。すぐに私の視線に気がついた当真は、にやりと口角を上げると、水を口に含んだまま私の顔を上げさせ、口づけた。当真の口内でぬるくなった水がとろとろと口の中に流れ込んで来る。溢さないようにゆっくりと飲み干すと、ちゅっとリップ音を鳴らして当真が離れた。

「満足したかー、お姫サマ」
「…………」
「無視かよ」
「…………」
「おーい、名前チャン」

憎たらしいにも程がある。セックスによって乱れたポンパドールも、顎から伝う水も、まだ余裕がありそうな表情も、全てが憎たらしい。しかしそれがあまりにもカッコいい。とは口に出せず、顔を伏せて当真の背中を気持ち強めに叩いた。


20210617
リクエストありがとうございました!

back