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郊外の寂れたホテルのベッドに転がされた私に馬乗りになった陽介は、その真っ黒い瞳の中に劣情をくゆらせて、そっと舌舐めずりをした。
今日は天気が良かったので、ピクニックをした後、私が運転する車でドライブをしていたのに、どうしてこんな薄暗いところに来てしまったのだろう。どうして、などと言うのはおかしいかもしれない。ここまで連れて来てしまったのは、紛れもなく私なのだから。
ドライブ中は楽しくお喋りをしていたが、途中で長い沈黙があった。その沈黙を破ったのは陽介で、運転に集中する私の太ももを撫でてきたのだ。横目で陽介を見ると、陽介は靴を脱いでシートの上で体操座りをしていて、膝に頬を乗せ、にやにやと私を見ていた。私はそれをあえて無視していたのだが、だんだんと手つきがいやらしくなっていって、しまいには胸を触り始めた。危ないのでやめさせようとしたところ、陽介が「だったらホテル行こうぜ」と言ってきたのだ。
陽介は荒々しく私の唇に噛み付き、それに反してあまりにも優しい手つきで、ピアスを避けるように私の耳の輪郭を親指の腹でなぞる。たったそれだけの行為にぞくぞくして、撫でられている方の肩が上がってくる。陽介の手がブラウスのボタンを器用に外していくのに合わせて、曝された首元をゆっくりと舌が這った。首の付け根をぢゅっと吸われて、びくりと震える。陽介は私の反応を面白がって、もう一度首元に吸い付いた。

「名前、跡付けられんのマジで好きだよな」
「好きなのは陽介でしょ。陽介がそういうことばっかりするから、襟があるものしか着られないんだけど」
「だって興奮すんじゃん。オレのものって感じで」

ブラウスを脱がしながら、陽介はにやりと口角を上げた。ブラジャーだけになった私の上半身には、陽介がつけた無数の跡がある。陽介は星座を描くように、私の身体についた跡をつつ、と指先で擦った。そんな簡単な行為で気持ち良くなってしまう私も私だ。はあ、と吐息を漏らすと、陽介の息がまた荒くなるのがわかった。

「今日は久々のホテルだし、めちゃくちゃにしてい?」

耳元でそう囁かれて、身体の芯が締まるような感覚に襲われた。陽介はそれを肯定と取ったようで、楽しそうに鼻で笑う。

「高校生のくせに……!」
「関係ねえって。てか、オレをこんなにしたの名前じゃん。ここに連れて来たのも名前、全部名前のせい。これもだろ?」

そう言って、陽介は私の手を取ると、服の中で窮屈そうに固くなった自身に当てがった。熱を帯びたそれを指先で軽く引っ掻くと、陽介は「後でな」と私の手を握った。
デコルテに口付けられながら、ブラジャーを外される。既につんと上を向いた乳首を見て、陽介は満足そうだ。ぴんと弾かれて、吐息が漏れる。遊ぶように数回同じようにされて、「陽介……」と呼ぶと、陽介は「んー?」とわざとわかっていないフリをした。

「バカ……」
「舐めてほしい?」
「っ……」
「かっわいい」
「あっ」

れ、と濡れた舌を出した陽介は、期待でじんじんする先端を押し潰すようにして舐め上げた。待ち望んでいた快楽を受け入れる。

「あ、んん……。っ、」

口の中でこねくり回すようにされ、反対側は指でくりくりと弄ばれて、思わず目をつむった。

「んっ!」

音を立てながら、先端が持ち上がるほどに吸い付かれて、ぱっと離される。揺れた胸を陽介は鷲掴むと、円を描くように揉みしだきながら、はー、と長く息を吐いた。その手つきは余裕の無さを感じさせ、期待と不安で痺れてくる。
下品な音を立てながら胸にむしゃぶりつかれて、私はもう思考がめちゃくちゃになってしまった。下半身がじくじくして、早くそこを触ってほしいとさえ思う。けれどこうして余裕のない陽介に、されるがままになりたい自分もいた。

「あっ、陽介、だめっ!」

すると、胸を好き勝手していた陽介は、私の腕を上げさせると、胸の横から舌を這わせて脇を舐め上げた。くすぐったさとも違う感覚から逃げようとしたが、強い力で腕を固定されてしまったため、どうすることも出来ない。

「やっ、そんなとこ」

嫌なのに、嫌ではない。一層乱れる私の言うことを、今の陽介が聞くはずがなかった。

「やだ……あ……」

恥ずかしくて身を捩ると、顔を上げた陽介は笑って、ちゅっとリップ音を鳴らし、愛おしそうに一回キスをしてきた。手がお腹を這い、ボトムスの中に滑り込んでいく。下着の上から押されるように触れられて、声が漏れた。

「すっげー濡れてんじゃん」
「うるさい……」
「いや、マジで。聞いてみ?」

しー、っと人差し指を立てて自分の唇に当てた陽介は、私を黙らせると下着の上からわざと水音を立てるように、数回タップしてきた。かっと身が燃える。今日の陽介はかなり意地悪だ。めちゃくちゃにするというのも嘘ではないのだろう。こんな年下の男の子にいいように弄ばれて、情けない。

「どうすっかな。このまま触るか、まだ焦らすか」
「……そういうこと、口に出すのやめて」
「わざとに決まってんだろ? その方が名前興奮すんじゃん」

ボトムスを脱がしながら、お腹に何度もキスされて、思わず内腿をこすり合わせてしまった。これでは陽介の思惑通りだ。じっと耐えていると、陽介の舌がヘソの周りを往復して、先端をねじ込まれた。ひっ、と声が出る。

「だからぁっ、そういうのやっ!」
「とか言ってビクビクしてんの誰だっつー話」
「あんっ」

舐められながら陰核を下着の上から引っ掻かれてしまい、腰が跳ねた。足の先まで快感が駆け抜ける。悔しくて睨み付けると、陽介はにやにやしていた。今の私が何をしても、陽介にとっては興奮材料でしかないようだった。

「名前、かわいい」
「うるさい……」
「オレのも触ってくんね?」

腕を引っ張られて身を起こされる。その勢いのまま口付けられ、手を陽介のものに誘導された。陽介の舌が私の唇、歯列をなぞる。上顎を刺激され、唾液が混ざり合う音がする。
ぼんやりする意識の中で、手のひらに伝わる陽介の熱はその存在を有り有りと主張していた。ベルトを急いで外し、チャックを下ろして手を差し込むと、陽介の下着の中は欲情で蒸れていた。先走り液を先端に広げると、陽介はびくりと震えて、私の口の中を犯す舌の動きを激しくした。それに呼応するように、手の中に収めた陽介のものを摩る。下着が邪魔なので、ずり下ろして両手で包み込み、しごくと、陽介は気持ち良いのだろう、一層息を荒くした。

「んうっ!」

キスしたまま頭の後ろを掴まれ、もう片方の手が私の下着を横にずらしたかと思うと、いきなり指を挿れられた。

「んっ、ふっ、よっ、はっんん」

ぐぽぐぽと出し入れされる。キスをしたままなのでまともに息が出来ない。離れようにも、頭に回された手のせいで叶わない。せめてもの抵抗として陽介のものをしごく手を速める。しかし先に限界が来たのは私だった。

「んは、イッ、ん゛っん」

手の中に陽介を収め、キスしたまま絶頂してしまった。ようやく口が離れて、必死に酸素を取り入れる。崩れ落ちそうになる身体を陽介が受け止めてくれた。

「イッた?」

答えるどころではなくて、肩で息をしていると「名前〜?」と背中をさすられる。ぎゅうっとしがみ付くと、陽介は「マジでかわいいんだけど」と言って私の身体を抱き締めた。

「もっとかわいいとこ見して?」

ゆっくり押し倒され、下着を脱がされる。陽介も全裸になると、絶頂の余韻を残した下腹部にまた手を伸ばされた。

「やっ、まだ」

隣に寝そべった陽介は、仰向けになった私の顔を見ながら足を開かせた。片方の足を陽介の足に絡めとられて、閉じることが出来ない。陽介は自分の指を舐めると、その指を陰核に優しく当てて、円を描くように撫でた。

「ひぅっ」

まだ余韻の最中にいた私は、その快感に思わず仰反る。陽介の黒い瞳がそんな私を愛おしそうに見ていて目を背けたが、「こっち見て」と顎を掴まれて間近で向き合う形になってしまった。

「あッ、陽介……」
「目閉じんなって」
「はあ……う……あっ」

じっくりと撫で回されて、気が狂いそうだ。もういつイってもおかしくないが、その瀬戸際で停滞させられる。無意識に腰がくねっている私を見て、陽介は相変わらずにやにやしている。

「イきてーの?」

声に出して答えたくなくて、頷く。

「おねだりは?」
「うっ、バカ……!」
「じゃあこのままだな」
「っ〜〜〜……たい」
「聞こえねえって」
「う……。っ、イかせて……?」
「っ、いい子」
「あっ!」

陽介の手つきが変わる。振動させるように刺激され、あえなく絶頂を迎えてしまった。痙攣が終わるのを待っていると、陽介はベッドボードに備え付けられていたゴムに手を伸ばし、素早く装着した。まだ震えている私の足を撫で、付け根から引き寄せられる。

「本当は舐めて欲しかったけどもうムリ目だわ。挿れていい?」
「やっ、まだだめ」
「だからムリだって」

ぐぷ、と陽介のものが挿入され、ぐっと顎が上を向く。慣らす間もなく律動が始まり、飛んでいってしまいそうな理性を、枕を握ることでなんとか繋ぎ止める。

「あっ、あ、はっ、んんっ」
「やっぱホテルいいな。んっ、はあ……。名前の家、壁薄いからあんま声出してくんねーじゃん?」
「ほんっとに、あっ、っく」
「後ろ向いて」

されるがままバックの体勢を取らされて、ぐっと挿入し直される。腰を掴まれて奥深くまで突かれ、視界がチカチカした。手をついていられず肘から雪崩れると、陽介が私に覆い被さってきた。首筋、背中に熱く濡れた唇が触れ、軽く噛まれる。

「ひぅっ」
「あ、締まった」
「言わなっ、あっ、あ、やっ、やだっ、!」
「イく?」
「だめっ、だめっあ゛っ、〜〜! っはぁ、はあ……」

陽介は動きを止め、三度目の絶頂を迎えて震える私の首、耳、頬にちゅっちゅっと唇を落とした。汗で肌に張り付いた髪を剥がされて、頭を撫でられる。

「陽介、休憩させて……」
「オレももうだいぶイイんだよな〜」
「え……?」
「だからもうチョイ頑張ってな」

ナカから引き抜かれて、たぱっと液体が溢れた。ギョッとして確認するが、陽介のゴムは問題なく装着されている。ということは、今シーツを濡らした液体は、紛れもなく私のものだ。陽介は「すっげ」と言って嬉しそうだが、私は恥ずかしすぎて死にそうになり、涙が出てきた。

「名前」
「やだ、もう……」
「オレは最高」
「ほんとにやだ、うー……」
「泣くなって」
「ばか、ばか……」
「はいはい、わかった。オレがバカなのはわかったから」

よしよしと頭を撫でられて、額にちゅっと陽介の唇が降りてくる。これではどちらが年上なのかわからない。

「だから、あともうチョイな?」

油断していた隙に、陽介のものが深く突き刺さった。声にならない悲鳴のようなものが室内に響く。陽介は激しく腰を打ち付けると、さっきまでの余裕はどこにいってしまったのか、険しい表情をしていた。私に見られていたことに気がつくと、息を荒げながら少しだけ微笑む。その顔にまた子宮が疼いて、陽介の表情を奪う。

「っ、やべ、もう出る」
「出してっ、ようすけ!」
「名前、かけていい?」

言葉の意味がわからなかったが、早く終わらせてほしくて頷く。陽介は勢いよく私のナカから自身を抜き、ゴムを外すと、先端を私の身体に向けて数回しごいた。陽介は私の身体に吐精すると、ぜいぜいと肩で息をする。胸や腹にかかった温かい液体が、ゆっくりと私の身体の外側に流れていった。

「さいってい……」
「いいって言ったじゃん」
「言ってない」
「いや、言ったから」

動けないので、陽介が私の身体にかかった精液を拭き取る。倦怠感で動く気にもなれない。

「こんなん家じゃできねぇから、悪かったって。ほら、風呂沸かしてくるから、待っててな?」
「やだ……」

ベッドから下りようとする陽介の手を引っ張る。「名前?」と私を見る陽介の目を見られない。

「まだいて……」

今この場からいなくなられたら、少し寂しい。そう思って出た言葉だった。すると陽介は「あー」と両手で目を覆うと、私に抱き付いてきた。

「やべー、マジ……。もう一回シねぇ?」
「もうムリだから!」
「いけるって」
「高校生の体力と一緒にしないで!」

言った私がバカだった。陽介は暴れようとする私の腕をベッドに縫い付けて、「ゴム二個置いてある理由わかったわ」と笑った。


20210519
りょうちゃんへ!

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