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「ねぇ浜野くん、こんなこと言いたくないですけど、やっぱり名字さんって性格悪いですよう」
「えー?そっかなぁ」
「だっていつもじろって睨みますし」

部活も終わり、着替えをしていた速水がこう言ったのに対し、浜野はやけににこにことしていた。名前は浜野の彼女でありサッカー部のマネージャーだ。速水と名前は同じクラスということもあってたまに話したりするのだが、速水は名前のことを苦手としている。

「そんなとこも可愛いよ」
「ええ……」

へらりと笑う浜野に、速水が怪訝な顔をした。

「だって落とし物を拾っただけで睨むんですよ!」
「照れてるだけだって〜」
「浜野くんは名字さんに甘すぎるんです!」
「私がなに」
「ひっ」

着替えの途中だというのにロッカールームに入ってきた名前はドア付近の壁に腕を組んで寄り掛かっていた。その顔は不機嫌そうだ。

「名前の話してた」
「ちょっと浜野くん!」
「ふーん」
「速水がさぁ、名前が睨むの嫌なんだって」
「言わないでくださいよ!」
「……睨んでないもん」
「睨んでるじゃないですかぁ」

名前はそんなことないと首を振る。そして心の中で「(睨まれてると思ってたんだ……)」とへこんだ。

「ちゅーか、名前ってなんか誤解されやすいよな〜」
「う……」
「素直になれないってか」
「ちょっと浜野」
「あ、ツンデレっていうやつ?」
「ツンデレじゃない!」

浜野の言葉に赤面した名前は全力で否定した。速水は名前がこれほどまでに感情的になっている様子を見たことがない。

「ほら、やっぱ名前可愛いっしょ」
「浜野!いい加減にして!」
「いひゃい」

浜野のほっぺたをつねる名前はこころなしか荒い呼吸を繰り返している。クラスでもこんな名前は見たことがない。少し面白くなっていた。速水はよく浜野が名前について自慢していたことをなんとなく思い出しながら、今度からは少しだけでもちゃんと聞いてあげようという気持ちになる。

「名字さん」
「うん?」
「なんか、すみませんでした」

速水が頭を下げると、名前はばつが悪そうな表情をした。そして消え入りそうな声を出す。

「私も、その……ごめんなさい」
「おおー!名前が素直だ!」
「浜野黙って!」
「たまにはオレにも素直になってほしいんだけど」
「う、うるさい!」

速水は名前と浜野がいちゃつく様を生温い目で見つめる。名前が素直になれないのは、浜野が名前に対してデレすぎているからなのではないかと心の隅で思いながら、足早にロッカールームを去った。



「好きすぎる」というタイトルと、ヒロインがツンデレで浜野がヒロインのことが好きすぎる話ということで、話を考えた時にツッコミ役がいないと収集がつかないのではないかと思い、速水を出してみました。
ツンデレの女の子は可愛くて好きなのですが、いかんせん書くのが苦手でして……。ツンデレの度合いがよくわかっていない感があってすみません。
類さん、素敵なタイトルをありがとうございました!


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