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エルドラドで事務仕事をしている私の元に買い物のリストが送信されてきた。確認すれば数は少ないものの、重量があるものがほとんどで、とてもじゃないが一人では運べそうにない。エルドラドの上層部やルートエージェント以外の人間が設備されている移動装置以外のものを使うことは禁止されている。よって荷物を移送することも出来ない。あいにく他の事務員は出払っている。どうしようかと考えた時に、ふとレイ・ルクの顔が浮かんだ。アンドロイドの彼は力持ちだし、任務がなければ付き合ってくれそうだ。もしかしたらサカマキ様の許可がいるかもしれないけど、そんな時間すらも惜しい。思い立ったらすぐ行動タイプの私は早足でレイ・ルクの元へ向かった。

「要請を許可する」
「ほ、本当?」
「イエス」

レイ・ルクはあっさりと受諾してくれた。今日は警備の任務がなかったのだろうか。とにかくこれで私の任務は遂行できそうだ。

「リストを要請する」
「了解。今送るね」
「データベースよりリストを確認。店舗検索を開始。エルドラド本部から一番近い店舗は徒歩15分」
「おお、すごい」
「在庫状況確認。問題なし」
「じゃあ行こうか」

正直店舗のことなんて考えていなかった。レイ・ルクはこんなことまでできるんだ。流石エルドラドが誇る科学者のサカマキ様が造ったアンドロイドだ。レイ・ルクは道案内のつもりなのか先を歩いてくれている。喋り方と瞳以外は本当に人間みたい。

「ねぇレイ・ルク、私の名前わかる?」
「名前」
「正解!やっぱりすごいなぁ」

レイ・ルクは自分から話し掛けてはくれないが、私が何か言えば必ず反応してくれる。それがとても心地好かった。
きっかり15分で店舗に到着し、リストにあるものを手に取っていく。

「重すぎだから」

やっぱり私を買い物に行かせたのは間違いなんじゃないか。溜め息を吐けば急に重さがなくなった。

「レイ・ルク…」

レイ・ルクに荷物を全て奪われた。彼はそのまま会計へ向かっている。ぼんやりしているとレイ・ルクが振り返った。

「名前、私は金銭を所持していない」
「あ!ごめん!」

急いで会計を済ませる。レイ・ルクは相変わらずの無表情だ。なんだろう、さっきからドキドキするような。女の子扱いをされたからだろうか。レイ・ルクは帰りも荷物を全て持ってくれるようで、私は手ぶらで歩いていた。

「レイ・ルク、重くない?」
「問題ない」
「そっか。ありがとう」
「礼には及ばない」

レイ・ルクは真っ直ぐ前を見ているので私のことを見ないが、それでよかったのかもしれない。

「…好きになっちゃうよ」
「発言の意図不明」
「ただの独り言です」
「了解」

本当に好きになるかは別として、私のいい男ランキングの一位に食い込んだレイ・ルク。もう少し一緒にいたくてわざと遠回りをしようとしたけど、レイ・ルクの正確な地理情報によって道を正されてしまった。今度是非サカマキ様に女心を理解出来るようにプログラムを作っていただきたいところだ。


『レイ・ルクと二人で買い物に行く話』

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