「これが、この間の"お出かけ200回"記念のアクセサリー」


綺麗な薔薇の飾りがついたブローチが、返事をするように艶めいた。


「これが去年の誕生日のときのぬいぐるみ、隣はその前の誕生日」


丁寧に座らせてあるたくさんのぬいぐるみは、どれもしっかり手入れがされていて綺麗だった。


「これはエリーゼが初めて上級魔法が成功したときの、これが俺が暫く街から出るって言った時、寂しくないようにあげたの、これは―――」



部屋中埋め尽くす程のプレゼント全てに、俺の思いは詰まっていて。

その俺の気持ちもまるごと受け取ったエリーゼの思いも、時を重ねると同時に込められいるのが、見るだけでわかって。




「で、これが、」




全ての物品を指差し終えた後、俺は最後に、横で見ていたエリーゼにそっと触れた。





「俺の、人生で一番大切な人」



まっすぐに向けられた大きめの瞳が、驚いたように俺を見つめる。
触れた白い頬はみるみる内に赤に染めあがっていった。
あぁ、可愛い。



「……よく、覚えてた、ね」

「そりゃそうだろ、次は何あげればいいか、覚えてないと偏っちゃうだろ」

「別に、くれなくてもいいよ…」

「え、なんで?」

「たくさん貰ってるから」




頬に置きっぱなしだった俺の手が、小さな両手に包み込まれる。



「優しい言葉も、嬉しい気持ちも、いっぱいもらってるから」




これからも、どんどん積み重なっていくのだろう。


たくさんのプレゼントが。
互いの気持ちが。
二人の時間が。
いくつもの思い出が。



柔らかな笑みを見つめながら、今日も改めて、俺は思うんだ。






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増えていく



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