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「#幼馴染」のBL小説を読む
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私は今日行きつけのレストランの店長に頼まれて結婚式の前夜祭のお手伝いをしている。

「あれ?葉月さんじゃないですか!」

「毛利さん!毛利さんは新郎の伴場さんの友人ですか?」

「そうなんですよ!まあ友人といっても悪友ですけど」

「楽しそうでいいじゃないですか!」

「葉月姉ちゃんどうしてここで働いてるの?」

「ここの常連なんだけど今日は人手が足りないから手伝ってほしいって頼まれちゃってね。アメリカに留学していた頃レストランで働いたこともあるし手伝うことにしたの」

「へー、そうなんだ」

「さあ、3人ともお席へどうぞ」

そして主役の伴場さんと初音さんが来店し祝福ムードになったのだが、まもなくドジな店員が伴場さんにチョコレートケーキをこぼしてしまった。

あれ?このドジな店員安室さんに似てるような…

でも変なメガネかけてるし、安室さんはドジではないと思う…

それからも安室さんに似てるドジな店員がやらかしたり、伴場さんと初音さんが互いに浮気を疑ったり、初音さんが中抜けしたりとカオス状態になっていた。

大丈夫なのかな?今日の結婚前夜祭…

死神探偵コナンもいるし…

なんて不安に思っていたら予感は的中し、駐車場の車が爆発し巻き込まれた初音さんは亡くなってしまった。

程なくして警察が到着しコナン君が爆発した車の側で見つけた初音さんの付け爪を高木刑事に渡した。

その付け爪には皮膚片が付着しており、殺人の可能性が出てきた為DNA鑑定が行われた。

DNA鑑定の結果、付け爪の皮膚片と伴場さんのヘアブラシから採取した毛髪のDNAがほぼ一致した。

伴場さんが犯行を否認すると、安室さん似の店員が初音さんに引っ掻かれた傷を誤魔化す為に自分に殴りかかったのではないかと言った。

しかしサングラスの男がその発言を論破した。

その男曰く安室さん似の店員が愛しい女が他の男のものになるくらいならいっそ殺して相手の男を犯人に仕立てあげようとしたのだそうだ。

目暮警部が訳が分からないと言うと、伴場さんが安室さん似の店員が初音さんと会っていた愛人だと白状した。

「そりゃ会っていましたよ。何しろ僕は彼女に雇われたプライベートアイ。探偵ですから」

メガネを外した顔はやっぱり…

「安室さん…」

「えっ、葉月さんの知り合いだったんですか?」

「ええ、マンションの隣人なのよ蘭ちゃん」

そして安室さんはサングラスの男もまた探偵で伴場さんに雇われ初音さんの動向を探っていたのだろうと推理し見事に的中した。

互いに養子だという事まで話した仲だったにも関わらず探り合っていたとは…

「蘭ちゃん、あなたは是非とも探り合いなんて必要のない綺麗な恋愛をしてね…」

「えっ、ええ…」

なんて私が言えたものじゃないわね…

安室さんと曖昧な関係を持ってしまったんだから…

そして暫くするとコナン君は真相にたどり着き例の如く毛利さんを眠らせて推理ショーを始めた。

途中安室さんが何度か論破したがコナン君は負けじとショーを続けた。

今回の事件は非常に悲しいものだった。

伴場さんと初音さんは同じホテル火災で身元不明のまま救い出された赤子同士で、誕生日も血液型も一緒で初音さんは背が低い…そして伴場さんのヘアブラシの髪の毛から検出されたDNAが初音さんの付け爪の皮膚片のDNAとほぼ一致…そう…2人は男女の一卵性双生児だったのだ…

結婚前にそうではないかと疑った初音さんは業者に依頼し先程結果を聞き絶望し泣きじゃくり自殺…その時に顔を引っ掻いて皮膚片が付け爪に着いたのが真相だったわけだ…

火の中で死んでいったのはおそらく原点だったホテル火災の頃に戻る為…

このような結末はこの間偶然観た韓流ドラマのラストだけにしてほしかった…

私はどうしたらいいのか分からなくなって皆が引き上げた後安室さんに駆け寄った。

「安室さん…」

「葉月さん…」

「この世は残酷ですね…惹かれ合った2人は結ばれてはいけない運命だったなんて…」

「そうですね…」

「ねぇ、安室さん…んん…」

誘おうとしたら噛み付くようなキスをされた。

「今夜は1人でいたくないでしょう?」

「うん…」

「僕もです。彼女の異変に気付いて先に調べて彼女に伝えていれば自殺を止められたかもしれないのに…」

私は返す言葉が見つからず代わりに彼の唇に自分のソレを重ねた。

そして私達はメゾンモクバに戻り、自分の部屋に彼を招き入れて愛し合った。

私達は伴場さんと初音さんのように結婚の許されない血縁者ではないけれど、そう簡単に結ばれるわけにはいかない立場であるにもかかわらず確かに惹かれ合っていると気付くまであと少し…

後日、毛利さんの様子が気になってポアロに行ったらケロッとしていたので安心した。

そこにはなんと安室さんもいて自分の未熟さを痛感したので毛利さんの弟子にしてほしいと頼んでいた。

いや…あなた間接的に幼児化した工藤新一の弟子になるという事よ…

安室さんは授業料にとんでもない額を出すのだろう。

毛利さんの目がお金になっていた…

コナン君はというと面倒な人物が来てしまったと言いたげな顔をしていた。

まあとりあえず安室さんが元気になったようで良かった。

私も彼のおかげでなんとか悲しみを乗り越えられたし。