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13

私は今日和葉、平次、蘭ちゃん、コナン君と銀座にイルミネーションを見に行く。

その前に和葉と蘭ちゃんが毛利さんの夕飯を作る為私と平次とコナン君はポアロで時間を潰しており恋バナで盛り上がっている最中だ。

「しかしわざわざ来るかねぇ、東京まで…」

「ホンマや!2人とも大阪に住んどるんやから大阪でええやん!大阪かてイルミネーションあるんやから!」

「葉月姉はともかくわざわざロンドンに行って告った奴に言われたないわ!」

「どこ呼び出してんねん!蘭ちゃんもようロンドンまで行ったなぁ…」

「俺の場合はたまたまそこがロンドンだっただけで…」

「どんな状況やねん!お姉さんに詳しく説明せい!」

「話すと長くなるから嫌だよ…」

「そういや葉月姉はプラネタリウムの男に都内の遊園地で告られた言うてたなぁ。ソイツとはどうなったん?」

「ああ、自然消滅してもうたわ」

「やっぱ遠距離恋愛は続かんのやなぁ…人の距離と時の流れは比例しとるっちゅう話やからなぁ…まあ例外がここにおるわけやけど」

「ホンマ妬けるわぁ」

「うっせえ…それより良いのかよ、今日で?」

「ああ、せやったなぁ…よりによって今日は…」

「13日の金曜日だからですか?」

ドリンクを運びに来た零が会話に入ってきた。

「ですがここは日本!気にすることはありません」

さすが愛国心の塊…

「たかが月頭から数えて13番目の日が金曜日だっただけの事。確率的には年に2回も来ますし。なので気にせず好意を寄せる方に想いを伝えてもいいのでは?」

零の言い分を聞いているとあまり応援しているようには感じられないな…

私とコナン君が苦笑いしていると隣から声が聞こえた。

「されど13日の金曜日…しかも今日は仏滅…日本的にも避けられた方がよろしいかと…」

誰?この人怪しい…零か私を監視しているのだとしたら大変だ…

「ねえ、あの人よく来るお客さん?」

「いや初めてだと思うよ。君達のすぐ後に来店された方で…」

零は特に怪しんでいる様子ではないし、組織の人間だったらもっと遠くで監視するはず。ただ知らない人の会話に割って入っただけの変な人か。

そんな事を思っていると予約していたらしい米花大学演劇サークルの男が来店した。だがその男はお腹の調子が悪いらしくすぐにトイレにこもってしまった。

そしてサークルのメンバーが続々と来店し賑やかになった。

「君達ぃ、ちょっと音出るけどヨロシクちゃん!」

うわ…チャラ男うざ…

「あ、はい…」

私が返事をすると男がパソコンのスイッチを入れるが反応がない。

ポアロの電気を使う為にコンセントを差し込むと火花が散って店内の照明が落ちた。

「梓さん、ブレーカーを!」

「は、はい!」

「ぐっ…うわああああああ!!!」

「梓さん早く!」

梓さんがブレーカーを上げるとパソコンのスイッチを入れようとしていた男が血を流して倒れていた。普通に考えれば返り血を浴びている人間が犯人だ。しかし誰も返り血を浴びていなかったので犯人を特定できなかった。

程なくしていつもの如く目暮警部と高木刑事が到着し零が状況を説明した。

「オイ工藤、何者やあの男?ただの喫茶店員とちゃうやろ?」

「ああ、あの人は…」

すると自分の事を話していると気づいた零はコナン君に向けて内緒のポーズを取った。

何このあざとすぎる29歳の男…

「た、探偵だよ。小五郎のおっちゃんに弟子入りしてたぜ…」

「なんや…あのボケナスの弟子かいな…しょーもな…」

毛利さん、ごめんなさい…否定はできない…

そして事情聴取を受けている容疑者達が外部犯の可能性はないのか聞くとまたもや怪しい男が口を挟んだ。

「それは有り得ないかと。あの男性が刺されて大声を出された直後、私は扉の前に陣取り何人たりとも店外に出さぬよう警戒しておりましたので」

「夜目が効くんやなぁ…」

「いえ、この携帯でちょうど電…音楽を聴いておりましたが故にわずかながらの光源がありそうで…」

いや、彼は音楽を聴いていたのではなく誰かと電話をしていたのだ。なぜなら電話と言いかけた上にディスプレイが通話中になっていたのからである。

その男は和田進一と名乗った。

和田進一の存在も気になるが私は今回ここに来た唯一の女性メンバーが大切な人を守る為の嘘だと言った時の切ない表情がなぜか気になった。



秋風に

たなびく雲の絶え間より

燃え出づる月の陰のさやけさ



そして今回も3人の名探偵により事件が解決した。そしてまたもや勘違いによる悲しい事件だった。トイレにこもっていた男がパソコンのスイッチを入れようとしていた男が自分の恋人にちょっかい出すので手にかけたのだった。しかしちょっかいをかけていたのは横恋慕していたからではなく妹の恋路を応援していたからなのであった。そんな兄は搬送された病院で意識を取り戻した。

事件解決後、和葉と蘭ちゃんがポアロに入ってきて和葉が帰りの新幹線に乗り遅れそうだと平次を連れて慌てて出て行った。

残った者だけで事情聴取を受け私と零以外はもう帰った。

「一緒に帰ろうか。車ないんだろ?」

「うん」

車の中で今回の殺人が未遂に終わってよかった事と和田進一について話した。

和田進一はワトソン教授の和名であり彼が誰かと通話していた事から彼は誰かの補佐のような立場で和田進一は偽名だ。彼を観察してみるとどうやら対象は平次だったようだ。平次は関西では人気のある探偵で、和田の所作はどこか執事のようだった。よってシャーロック・ホームズのポジションにあるのは平次に想いを寄せる頭のキレるお嬢様だと私は推理した。

雑談に夢中だった私は今ようやく目的地がメゾンモクバでない事に気づいた。

「零、ここって…」

「銀座四丁目のイルミネーションだ。葉月と見たかったんだ」

「私もよ!でも大丈夫なの?」

「あと30分で終わりだからもう人も少ないはずだ。たまには外でのデートも良いだろ?」

「零…」

私達は手を繋ぎながらイルミネーションを回った。

こんなロマンチックなデートができるだなんて思ってもいなかったから凄く嬉しい。

30分という時間はあっという間だった。

「今日はありがとう」

お礼を言って零の唇にキスした。

零は慈愛に満ちた笑みを浮かべていた。

嗚呼…この人を守りたい…幸せにしたい…