初情事まであと1時間 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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親友


「ハア…」

松田陣平は部屋を片付けながら朝っぱらから溜息を吐いた。なぜなら散らかしたのは現在居候中の親友の萩原研二だからだ。萩原は合コンにお金を使いすぎて家賃と水道光熱費が払えなくなった為松田のアパートに転がり込んだのである。

「溜息吐くと幸せが逃げちゃうよ、陣平ちゃん」

「誰のせいだと思ってんだ…少しはお前も片付けろ!」

「嫌だよ。俺は別に散らかってても気にならないし」

「チッ」

こんなやり取りはほぼ毎日続いてる。それでも松田は仕事では萩原の腕を認めている為なんだかんだ許しているのである。

そしてその日の夜、松田と萩原の同期で現在は警視庁交通部に所属している志村葉月が松田の部屋に泊まりにきた。なぜなら2人は交際中だからだ。

「陣平!」

葉月が玄関で松田に抱きつき、それを松田が受け止めた。

「今日萩原はいないのよね?」

「ああ、アイツは合コンに行った」

「うわぁ…相変わらず遊んでるのね…まあいない方がいいけど」

「なあ…今夜こそいいか?」

「そうね…」

「葉月…」

「陣平…」

2人の唇が重なろうとしたその時…

「ヒューヒュー!熱いね、お2人さん!」

「ゲッ!お前合コンじゃなかったのかよ!?」

「来れなくなった奴がいて明日になった。いらっしゃい、葉月ちゃん」

「お前の家じゃねーだろ!今日はどっかテキトーに泊まれ!」

「そんなつれないこと言わないでよ。すぐ寝るからさ。俺のことは気にしないでやることやりな。とりあえず風呂借りるから」

そう言って萩原は風呂場に行ってしまった。

「オイコラ!ったく自由な奴だな…」

「でもなんだかんだ憎めないんでしょ?」

「まあ爆発物処理の腕前はピカイチだからな…」



*あと50分*



松田と葉月はベッドの上でイチャイチャしている。

「なあ陣平ちゃん、俺のパンツ知らね?」

「キャッ!」

萩原がノックもせずにドアを開けて部屋に入ってきた。腰にタオルを巻いているだけで上半身は裸なので葉月が枕を投げつけた。

「知らねーよ!出てけよ!」

「あっ、わりいわりい。お邪魔だったねー」

「お前わざとだろ…いいから出てけ!」

「おー怖っ…」

悪びれてない様子で萩原は出て行った。

「ったく…葉月も風呂入るか?」

「陣平が先でいいよ。私は仕事で疲れてるから少しくつろぎたいし」

「そっか。じゃあお先に」



*あと40分*



「萩原のバカ…」

葉月は今日こそ恋人と一線を越えるのだと期待していたにもかかわらず萩原に邪魔されて少々苛立っていた。

「ごめんねー、葉月ちゃん…」

ジャージを着た萩原がまたもや勝手に入ってきた。

「思ってないでしょ…」

「ねえ、陣平ちゃんとはどこまで進んでるの?」

萩原はニヤニヤしながらベッドに腰掛けて葉月の肩を抱いた。

「ちょっと、触らないでよ!」

「教えてくれてもいいじゃんか。俺達同期だろ?」

「関係ないでしょ!」

「さてはまだセックスしてないね」

図星を突かれ葉月は反応してしまった。

「当たりか。陣平ちゃんって意外と奥手なんだなぁ」

「誰かさんと違って簡単に女の子に手を出さないタイプなのよ…」

「誰かさんって俺のこと?酷いなぁ」

「あら、間違ってないでしょ?」

「まあ何でもいいよ。ねえ、陣平ちゃんのどこが好きなの?あんな傍若無人な男より俺の方が散々モテてきたのになぁ」

「私は陣平のその傍若無人なところが好きなの。意地っ張りで素直じゃなくて可愛いから」

「へぇ、変わってるねー」

「ほっといてよ…」

「じゃあ陣平ちゃんがドア開けた瞬間抱きついて思いっきりエロく誘ってみな」

「そ、そんなこと…」

「まあ俺が先にドア開けちゃうかもしれないけど。そしたら葉月ちゃんのこと抱くから」

「ちょっとあんた何言って!ひゃっ!やめて…」

萩原は突然葉月の耳を舐めた。

「あっ…ちょっと…萩原…」

萩原の行動はエスカレートし、耳を舐めながら葉月の服をめくり上げてブラをずらし胸を揉みしだいた。

「はあ…もう…いいかげんに…」

「乳首勃ってるじゃん。感じてくれてるんだね。じゃあ俺はここで」

そう言って萩原はあっさり出て行ってしまった。

「はあ…はあ…」

お預けを食らった葉月の身体は疼いている。



*あと23分*



「葉月…」

ベッドに寝転んだ萩原は警察学校での事を思い出していた。

「(話しかけた瞬間軟派な男は嫌いって…今までそんな事言われたことなかったから驚いたよなぁ。気付いたら夢中になっていて…でも葉月はどんどん松田と仲良くなっていって…)」

まさか親友の恋人にここまで惚れるとは思っていなかった萩原は自嘲気味に笑った。



*あと12分*



一方湯船に浸かっている松田はというと…

「(警察学校に通っていた頃ほとんどの女学生がホイホイと萩についていった中で葉月だけは軽蔑の眼差しを浮かべていたな…いつも凛としていてミーハーな女どもと違っていたアイツを目で追うようになって…実習で一緒になった時は柄にもなく緊張して…でもなんとか話せて徐々に距離が近づいていって…俺の告白を受け入れてくれた時は正直泣きそうになったな…)」

こちらも警察学校時代を思い出していた。



*あと1分*



葉月のいる部屋のドアが開いた。

ドアが開いた瞬間葉月は微笑んだ。

そこにいたのは………

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