初情事まであと1時間 白のRX-7が都内を走っている。 「零の家行くの初めてだからなんだかワクワクする。普段どんな生活してるの?」 「別に普通だ。仕事忙しくてあまり帰れないけどな」 「ワーカホリックだもんね。今回は何徹だった?」 「5徹だな」 「わぁ…凄い…私は3徹が限界だわ。零ったら風見さんが私と一緒に無理矢理帰らせなかったら6徹目になるところだったんじゃない?」 「だろうな。組織を壊滅させた後の書類地獄からまだまだ解放される気配ないからな」 「だよね…まあ今晩は風見さんが快く私達の分も引き受けてくれたから甘えてもいいんじゃない?」 「そうだな。あっ、ちょっとそこのコンビニで酒買わないか?」 「買う!」 警察庁警備局警備企画課所属の降谷零と警視庁公安部所属の志村葉月は3ヶ月前に国際的犯罪組織を壊滅させた直後に葉月の上司である風見裕也のお膳立てにより付き合い始めた。大きなヤマが片付いたばかりで後処理に追われていたがそれでも時間を見つけて順調に交際していた。ちなみに進んだのはキスまでだ。 *初情事まであと1時間* 先にシャワーを浴びた私は今シャワーを浴びている零が出てくるのを髪を乾かしながら待っている。 零はどんな風に私を触るのかな? 私は組織潜入時に関係を持っていたバーボンと彼を比べていた。身体は同じだが性格が違いすぎるので抱き方もきっと違うだろう。 「組織壊滅直後にゼロのエースだっていう降谷零さんと初対面した時は本当に驚いたな。まさか潜入時に関係を持って挙げ句の果てに好意を持って悩まされていた相手と同一人物だったなんてね」 というか私は本来の私としては経験がない。アマレットとしてだってバーボンとしかしていない。バーボンと初めて寝たのは任務完了後に互いに気持ちが昂ってのことだったから正直詳しいことは覚えていない。 「もうどうやって抱かれたらいいの!?」 *あと52分* 俺は今シャワーを浴びながら彼女のことで頭がいっぱいになっている。 バーボンとしてアマレットを抱いているうちに彼女を愛してしまって本当に苦しかった。3ヶ月前に葉月に初めて会った時俺は全てを察して目に涙を溜めていた彼女を思わず抱きしめてしまった。それを見た風見のお膳立てもあってこのクソ忙しい時でも順調な交際ができた。 一つ問題がある。実は降谷零としては経験がない。学生時代はヒロとばかりいたし、エレーナ先生を探す為に警察官になるのに必死だったからだ。 バーボンとしてアマレットを初めて抱いた時は流れだったしまだ好意を抱いていなかったからバーボンならこうやって女を抱くだろうと想像しながら抱いた。 俺はまだ本気の愛の伝え方を知らない。 *あと27分* 「「乾杯!」」 「ぷはっ!仕事終わりのビールは格別だね!」 「おっさんみたいだな…」 「本来の私はオヤジ女子なの。幻滅した?」 「いや。俺は気取ってる女より飾らない女の方がいい」 「でも高慢ちきなアマレットに惚れていたんでしょ?」 「あれは苦しみや哀しみを隠してそう振る舞ってるように見えたんだ。どこか影があって、もしかしたらノックなのではないかと思った。願望でもあったが」 「私と全く同じだ。組織を壊滅させた時それはもうカオス状態でバーボンがどうなったのか分からなくて…零に会えた時胸が張り裂けそうだった…」 「江戸川コナンやFBIがしゃしゃり出てきたからな。そのせいで俺もアマレットの安否を確認できなくてヤキモキした」 「話変わるけど…あのさ…」 「何だ?」 「実は本来の私としてはセックスの経験がないの…」 「えっ?」 「警察官になるのに必死で恋愛なんて必要なかったから」 「それなら俺と一緒だ」 「嘘だ!こんなに良い男なのに!」 「散々告白されてきたが全部断ってきたからな」 「うざ…」 *あと10分* 2人はベッドの上で濃厚な口付けを交わしていた。 「ねぇ、これって私達の初情事にカウントしていいかな?だってお互いに本来の姿では初めてなんだし」 「そうだな」 そういうと降谷は葉月のTシャツを脱がせブラを外して胸を強弱をつけながら揉んでいった。 「はあっ…気持ちいい…」 葉月が素直に伝えると降谷は彼女の首筋に痕を残した。 「バーボンの時にはしてくれなかった行為だ。嬉しい!私もつけたい」 言った直後に葉月は降谷のTシャツを脱がせ彼の首筋に痕を残した。 「どこで覚えたんだ?」 「零のを完コピしたのよ。私優秀だから!」 「自分で言うな。まあ組織で仕込まれたわけじゃなくて安心した」 「ベルモットに、あなたはハニートラップ向きじゃないわね。良い物持ってるのに残念だわ、って言われたからね」 「気取った態度を取っていたのはただの虚勢で実際はお子ちゃまだと見抜かれていたんだな」 「悪かったね!てかバーボンに抱かれてからは色気が出たはずなんだけど…」 「ああ…アマレットにハニートラップの仕事がいかないように俺が陰で潰してた」 「わぁ…嫉妬深い…」 「そろそろ続きさせろ」 だが行為を再開させようとした瞬間降谷のスマホに風見から着信があった。 「チッ…もしもし…何か問題が起きたのか?」 《いえ、そういうわけではありません。ちゃんと志村とゆっくりできていますか?》 「ホォー、お前は用もないのに電話をかけてきたのか?」 《あれ?まずかったですか?》 「当たり前だろ…今何時だと思ってるんだ!!これから本番だというのに!!」 《あっ!ご、ごめんなさい!!》 「風見…」 《ギャアアア!!!》 *説教タイム突入により5分延長* 「やれやれ…風見さん空気読んでよ。間違いなく恋人いたことないな…」 [しおり/もどる] |