キミがいれば | ナノ

6

屋上の扉を開けると夜空をどこか寂しそうな表情で見上げていた赤井さんが振り向いた。

「どうした?」

「話があるの…」

「何だ?」

「私…赤井さんが好きです。付き合ってください!」

「君は知らないと思うが俺は…」

「組織に潜入する為に組織の一員だった宮野明美さんに近づき恋人として無事潜入に成功。しかしあなたが組織にFBIだとバレて脱退後に明美さんはスパイを招き入れた罰として消された。あなたは明美さんを本気で愛してしまって…今でも忘れられない…」

「知ってたのか。ジョディだな…」

「ジェイムズさんからも聞いたわ」

「そういう訳だから君とは…」

「私はあなたの支えになりたい!あなたみたいな人は他人ましてや仕事仲間に弱みなんて見せない。でも私には…何もできないけど弱みを見せてほしいの。明美さんの事だって忘れる必要はない。忘れられたら可哀想だもの」

そう言って私は赤井さんに近づいた。

「だがあまり俺に近づきすぎると君も危険な目に遭うぞ」

「やたらと事件に巻き込まれる江戸川コナン君の知人になった時点でもう詰んだからそれは問題ない」

「フッ、君は大人しそうに見えて頑固だな。それに自分から告白するようなタイプだったとはな」

「私告白したの赤井さんが初めてよ。初恋だもの。だから絶対に諦めない」

「本当に俺でいいんだな?」

「赤井さんじゃなきゃダメなの!」

「俺も君といると癒される。危険に晒さないように遠ざけなければならない筈だが…気づけばできなくなっていたようだな…」

「ってことは…」

「俺からもよろしく頼む」

「ありがとう。私の告白を受け入れてくれて」

「あの、お取り込み中のところ悪いんだけど…」

ちょっと新一、空気読んでよ!

「何だ?奴らを迎え撃つ策ならまだ思案中だが」

「でもさー、僕赤井さん見ていて思ったよ。もしかして僕と同じ事考えているんじゃないかなぁって」

「ホォー」

そして私はFBIの作戦会議に加わったが2人は秘密の作戦があるらしく水無怜奈の病室に向かった。会議が終わる直前に2人が戻ってきて2人とも3台のストレッチャーを見ただけで作戦を理解したそうだ。

水無怜奈を乗せる車を運転するのは強面のアンドレ・キャメル捜査官に決まった。ジョディ先生は彼から危険な匂いを感じると言っていたが、赤井さんは味方の顔はどうも覚えていないと答えた。

「葉月、今のうちに休んでおけ」

「赤井さんもね」

「あれ?あなた達いつの間にそんな感じになったのよ?」

「2人はさっき恋人同士になったんだよ!」

「ちょっとコナン君!」

「別に隠す必要はない」

赤井さんは私を抱き寄せた。

「さっき勇気を出して想いを伝えました」

「前に進む事にしたんだな、赤井君」

「ええ、彼女といると心が安らぐので」

「ほら、やっぱりあなた癒し系なのよ!」

照れ臭いから早く別の話題になってくれないかな。

赤井さんが左手で私の肩を抱いたまま右手でコーヒーの缶を開けたが落としてしまった。

ジョディ先生が目の下にクマができているからと赤井さんを心配したがそれは元からだ。

そして私と赤井さんで皆の夜食を買う為にコンビニに行った。

「葉月、この一件が片付いたらどこか行きたいところはあるか?」

「うーん、もうすぐ公開されるミステリー映画観に行きたいな」

「良いな。俺もミステリーは好きだ」

「趣味が合うみたいで良かった!」

「葉月…」

「何?」

「待っていてくれるか?」

「もちろん。デート今すぐには無理なの分かってるからこの一件が一段落するまで待つよ」

「そうか…」

赤井さんが本当に言いたかった事が何なのか分かるのはもっと先…

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