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新一が黒ずくめの組織のボスのメールアドレスが『七つの子』を奏でることを突き止めてから暫く経ったある日、阿笠博士から日売テレビの人気アナウンサーの水無怜奈さんから毛利さんがピンポンダッシュの犯人を突き止めてほしいと依頼されて彼女の家に蘭ちゃんと新一も連れて行き子供の仕業だったと判明して帰宅している途中に新一が彼女の部屋の外の壁に付けた盗聴器を回収するのを忘れていてスイッチを入れたら『七つの子』のプッシュ音が聞こえ水無さんが電話でジンと言っていたらしいと聞かされた。新一は毛利さんと蘭ちゃんを先に帰らせて自分は博士に迎えに来てもらって組織による暗殺計画を阻止しようとしているとのことだ。
博士に家から出ない方がいいと言われたが私は今聞いたことをジョディ先生に電話で伝えて待ち合わせをした。
私は新一を守らないと優作さんと有希子さんに顔向けができない。
そして水無怜奈さんのアパートの側でジョディ先生の車に乗って新一を追った。
「えっ?ジョディ先生達はすでに水無怜奈さんをマークしていたの?」
「ええ。ベルモットが新出ドクターに変装してから医院に頻繁に出入りしていたから目を付けていたのよ」
すると黄色いビートルの横に立っている新一を発見したので私達は車を降りた。
「そこまでよ!」
ジョディ先生が新一に拳銃を突き付けるフリをして脅かした。
「クールキッド!」
楽しそうな先生…
「あら、あなたビビリなのに来たのね」
「哀ちゃん…酷いよ…そうだけどさ。新一が心配で」
「そうね。私も心配で付いてきたのよ」
私達はビートルで移動することになった。
組織はADPという場所でDJなる人物を暗殺する予定らしい。
皆で推理を進めるとDJが土門康輝でADPが杯戸公園だと分かったので急ぎ、新一とジョディ先生だけ車から降りた。
新一の機転と恵みの雨のおかげでなんとか暗殺を阻止したがまだ続きがあるそうだ。
博士と哀ちゃんにはここで帰ってもらい毛利さんと蘭ちゃんを匿ってもらうことになり、私達はFBI長官のジェイムズ・ブラックさんの車で移動することになった。
なんで私まで…
博士と哀ちゃんがいたからまだ良かったのに新一とFBIだけの中に取り残されるのはちょっと…
「シュウの居場所分かります?」
赤井さん…彼の名を聞いただけで胸が高鳴った。
どうして?まだ2回しか会っていないのに…
「赤井君なら私も探しているところだよ。この状況は彼に説明したんだろう?」
「ええ、この子が付けた発信機と盗聴器のことも。そしたら電話口で…−そうか…−って答えたっきり音信不通になってしまって…」
「はあ…どうも恋人を亡くしてからの彼は心を閉ざす傾向にあるようだ。それ以前も開いていたわけではないが…」
恋人を…亡くした…
「葉月なら彼を変えられる。勘だけど私はそう思うわ。だから残ってもらったのよ」
「ほう、それはありがたい。頼んだぞ」
「ええ!?私はいったい何をすれば…」
「いつも通りでいいのよ。あなた癒し系だから」
「はあ…」
私は自分が癒し系だなんて思ったことないけど…
「しっ!聞こえてきたよ」
次の暗殺は16時にベインBで行うらしい。
ベインには風向きという意味もあるというジェイムズさんの一言により場所は鳥矢大橋だと判明した。
私達は鳥矢大橋に向かうバイクの女を追った。ジェイムズさんとジョディ先生がバイクを止めるよう呼びかけると、女はバイクごとFBIの車の上を次々と飛び越え、飛び出してきた子供を避けようとして横転してしまった。
バイクの女はベルモットのはずなのに水無怜奈だった。とりあえず頭から血を流して意識不明となった彼女を杯戸中央病院へ運ぶこととなった。
そして組織の車2台が方向転換し発信機の通信が途絶えたことから組織のターゲットが土門さんから毛利さんに変更となったと悟った私達は毛利探偵事務所に向かった。
新一が蘭ちゃんに電話すると毛利さんだけ博士と哀ちゃんが目を離した隙に探偵事務所に帰ったと知らされた。
探偵事務所に着くと向かいのビルからライフルで毛利さんを狙っている連中の姿があった。
新一はジェイムズさんに車の屋根を開けさせ、サッカーボールをキック力増強シューズを使って探偵事務所の窓目掛けて蹴った。
狙撃は阻止したが競馬を聴いていた毛利さんはカンカンだ。
しかも連中はまだ毛利さんの狙撃を諦めていない。
どうしたらいいのか考えていたら銃声のようなものが聞こえた。
新一からメガネを奪ってかけるとライフルを構えた赤井さんの姿を捉えた。
こんな状況なのにかっこいいと思ってしまった。
赤井さんが何発か銃弾を浴びせると連中は退散した。
***
翌日、杯戸中央病院にて
「赤井さん、お久しぶりです」
「…なぜ君がいる?」
明らかに嫌そうな顔をされたがジョディ先生とジェイムズさんの期待がかかっているので負けるわけにはいかない。
「完全に巻き込まれました。でも私にできる範囲で最後まで協力させていただきます!」
「そうか。無茶はするなよ」
「はい!」
断られなくて良かった。
もうこうなったらとことん付き合うから!
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