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新一と服部君と共にジョディ先生のマンションに乗り込んで殺人事件に巻き込まれてから大分経った今日、私はジョディ先生のお見舞いにやって来た。
なんとジョディ先生はFBI捜査官で、新一が追っている悪い組織を追って来日し、新出医師に変装して帝丹高校の校医をしていたベルモットというコードネームを持つクリス・ヴィンヤードを監視する為に帝丹高校で英語教師をしていたらしい。そして私が泊まりがけで仕事に行っていた頃、新一とFBIでベルモットをあと一歩のところまで追い詰めたが逃げられたらしい。その時にジョディ先生はベルモットに撃たれて入院したのだ。
ジョディ先生の正体が判明して、私はあの時のお礼をまだ言っていなかったことを思い出して、それも兼ねて今日訪ねた。
「あら、わざわざありがとう。あの時は怖かったでしょう?」
「ええ、とても…私は彼らのように探偵でもなければジョディ先生のようにFBIでもないからね」
「コナン君は出かけるたびに事件に遭遇しているそうよ。私も彼に会うと必ず事件に巻き込まれてきたわ」
「やっぱり…ますます引きこもりになっちゃうよ私」
服部君の言う通りジョディ先生は本当は日本語が堪能だった。
しばらく談笑していると誰かがやって来た。
「ん?君は確か…」
「あっ、バスジャック事件の時隣の席だった…」
「赤井秀一だ」
「どうも。志村葉月です」
この人もFBI捜査官だったのか。あまり愛想は良くないけどかっこいい人。でも緊張するから帰ろう。
「これから仕事の話するんですよね?では私は帰ります!」
私は病院を後にした。
角を曲がったらいかにもガラの悪そうな3人組の男が前から歩いてきた。
絡まれせんように!
「よう、ネーちゃん一人?」
「良かったら俺らと遊ばない?」
「どうせ暇なんだろ?」
あまりにもベタすぎるナンパをされてしまった。はあ…どうしよう…
「俺の女に何をしている?」
ドスの効いた声が聞こえたと思ったら誰かに突然肩を抱かれた。なんと赤井さんだった。
すると男達は謝りながら逃げていった。
「大丈夫か?」
「はい。助かりました。ありがとうございます。でもそろそろ離してください!」
「ああ、すまない」
よくもそんな淡々としていられるな。私はドキドキが止まらないわ。
「どうしてここにいるんですか?ジョディ先生とお話があったんじゃ…」
「ああ、ジョディがお前の落とし物に気づいてな。届けるように言われたんだ」
赤井さんは私にハンカチを渡した。
「あっ、ありがとうございます!落としたことにちっとも気がつきませんでした…」
「別に構わない。じゃあ俺は病院に戻る」
「はい…」
ぶっきらぼうだけど良い人。彼に触れられた肩が未だに熱い。
また会いたいような会いたくないようなそんな乙女心…
この時の私は今後彼に振り回されることになるなんて思いもしなかった。
一般人とFBIが関わるなんて誰が想像できる?これも事件ホイホイとなってしまった小学生の姿をした高校生による運命の悪戯に違いない。
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