キミがいれば | ナノ

12

私は今キャメルさんの車に乗っている。しかも後部座席で秀一に膝枕されながら寝転んでいる状態だ。

何故このような事になったかというとバーボンが沖矢昴イコール赤井秀一だとほぼ確信してしまい家にいては危険だからだ。

私達はずっと気配を消していたがくだらないチェイスにケリをつけるタイミングが来たので秀一がキャメルさんに屋根を開けるよう指示した。

それによって私はようやく身体を起こせた。

そして秀一は追っ手の車のタイヤを狙撃して大事故を起こして振り切った。

せっかく振り切ったにもかかわらず秀一はキャメルさんに引き返すよう指示した。

事故現場に戻ると秀一は自分の拳銃と安室さんと通話が繋がっている携帯電話を交換した。

「久しぶりだな、バーボン。いや今は安室透君だったかな?君の連れの車をおしゃかにしたお詫びに細やかな手土産を用意した。楠田陸道が自殺に使用した拳銃だ。入手ルートを探れば何か分かるかもしれん。そういう事は我々FBIより君らの方がはたけだろう?」

−まさかお前俺の正体を!?−

「組織にいた頃から疑ってはいたがあだ名がゼロだとあのボウヤに漏らしたのは失敗だったな、降谷零君。ゼロとあだ名される名前は数少ない。調べやすかったよ。おそらく俺の身柄を奴らに引き渡し大手柄を上げて組織の中心に食い込む算段だったようだがこれだけは言っておく。目先の事に囚われて狩るべき相手を見誤らないでいただきたい。君は敵に回したくない男の1人なんでね」

秀一が言い終えると私は彼から携帯電話を取り上げて安室さんに訴えた。

「安室さんお願い!組織の命令なら仕方ないけど個人的に秀一を捕らえるなんて止めて!」

−葉月さん!まさか君の恋人って赤井だったのか!?−

「そうです!」

−そんな…っ−

「それに私はあなたの事も心配なの!こんな馬鹿げた事をしている間にも組織では大きな動きがあってあなたに危険が迫っている可能性だってあるかもしれないでしょ!」

−っ…分かりました。あなたに免じて赤井は諦めてあげます−

「ありがとう…」

私は携帯電話を秀一に渡した。

「それと、彼の事は今でも悪かったと思っている…」

えっ?

そして秀一は男に携帯電話を返しキャメルさんに車を出させた。

キャメルさんに家まで送ってもらって帰宅したら久しぶりに師匠と再会した。

「君はモテモテだな。あの安室君も君の事が好きみたいだよ」

「まさか…秀一の事聞き出す為に色仕掛けしてきただけでしょ?」

「最初はそうだったかもしれないが接しているうちに気持ちが変化したのだろう。君が赤井君の恋人だと知った時彼は悲しそうだった…」

「そう…」

「では私は失礼するよ。いいかげん妻を解放してやらないと」

「そうですね。また今度ゆっくりお話ししましょう!」

こうして安室さんの企みは新一と秀一と工藤夫妻により無事阻止されたのだった。

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