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今日は12月21日。そう!もうすぐクリスマス!
でも秀一はデートしてくれる気配すらない。
哀ちゃんが死んだと組織に思わせる事ができたにもかかわらず、安室さんがまだ毛利さんの周辺を探っているから仕方ないのだろうけど…
まあ今日は阿笠博士の家で少年探偵団とクリスマスパーティーがあるから思いっきり楽しもう。
ということで私は買い出しすべく町に出た。
「おや、偶然ですね葉月さん」
「安室さん…」
「どこへ行かれるんです?」
「阿笠博士の家で少年探偵団とクリスマスパーティーをやるのでその為の買い出しにスーパーとディスカウントショップへ」
「ホォー、コナン君達と仲が良いのですね…」
「ええ、まあ…」
「買い出しが終わったらポアロに来ませんか?」
「クリスマスパーティーにぴったりの料理教えますよ」
「ぜひ!」
「クス、では後ほど」
本当はあまり安室さんに関わらない方が良いのだろうけど、あいにく私は料理のレパートリーが少ないので料理を教えてもらう事にした。
そして買い出しを終えて博士の家に荷物を置いてから私はポアロで料理を教わった。
「安室さん凄い!」
「惚れ直しましたか?」
「いいえ。私彼氏いるって言いましたよね?」
「そんなの関係ありませんよ。必ずあなたを落としてみせますから」
「はあ…」
「梓さん、店長が呼んでますよ」
「あっ、はい。あっ、安室さんって探偵でしたよね?」
「ええ、まあ…」
「じゃあ、これ何だか分かります?あっ…」
「今の何だったんですか?」
強風のせいでレシートのような物が飛ばされてしまった。
「今のレシートですよね?」
「印字ミスのレシートだと思うんで気にしないでください」
「印字ミス?」
気にするなと言われると余計に気になってしまう性分なのは私も安室さんも同じなので看板猫の大尉と戯れている梓さんにレシートの事を聞いた。
「えっ、タクシーのレシートの文字が消されていた?さっき僕に見せようとしたのはそれだったんですか?」
「そうなのよ。corpseだったかなぁ…」
corpse…つまり死体!
「この子がここに来るようになったのを知ってるのってコナン君だけですよね?」
「へぇ、江戸川コナン君ですか…」
「それとそのレシートを取る時に首輪に触ったんですけどかなり冷たかったような…」
「まさか彼に何か?」
「えっ?」
「レシートですけど確かあっちの方に飛ばされましたよね?」
「えっ、まさか探すんですか?」
「マスターには急に体調を崩して早引きしたと言っておいてください。今日のバイト代はいらないからと」
「安室さん!私も行きます!伊豆高原の時みたいに迷惑かけたりしませんから!」
「ええ、一緒に行きましょう!」
という事で私達は外に出た。
「で、どうやってレシート探すんですか?」
「風力、風向き、この周辺の建造物の立地条件などを考慮に入れてシミュレーションすれば風の流れが読めて飛ばされた先が絞り込める筈ですよ」
「ええ!?そんな事できるなんて凄い!」
「今度こそ惚れたでしょう?」
「バカな事言ってないでさっさとシミュレーションしてください!」
「手厳しいな…」
そして柱で枯葉と共に舞うレシートを見つける事ができた。
安室さんの推理によるとcorpseの下は車のナンバーで、猫の首輪が冷たかった事から考えられるのは冷凍車で、8から始まる8桁のナンバー即ち宅配業者のクール便だそうだ。
そして彼の車でチーター宅配便がいると思われる米花町二丁目へと向かった。
「あっ、一つお願いがあります」
「何ですか?」
「僕があのレシートを見て来た事は内緒にしてください」
「どうしてですか?」
「あなたとの秘密にしたいからですよ」
「意味が分かりません」
「秘密を共有するのって素敵じゃないですか?」
「そうですけど…こんな事で…まあ別にいいですけど…」
そんなやりとりをしていたらクール便を見つけた。
「あなたは車から降りないで!」
「はい…」
車の中から様子を伺っていると安室さんは大人の男を一撃で気絶させた。
「皆無事で良かった!」
私は車から降りて皆を抱きしめた。
そして車で去った安室さんを見届けてから私達は博士の家でクリスマスパーティーをした。
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