人生幸福論 | ナノ


19:守りの魔法  




一時間後ハグリッドの部屋を訪ねると、驚いたことにカーテンが全部閉まっていた。


今日は久しぶりに晴天で気温だって高いのに、暖炉にはゴウゴウと炎をあがらせていて、窒息しそうなほど暑かった。実際、ハグリッドも汗がだらだら垂れている。


俺たちを招き入れたハグリッドはきっちり扉を閉めて、空気はさらにむっとした。


「それで、おまえさん、何か聞きたいんだったな?」

「うん。フラッフィー意外に『賢者の石』を守っているのは何か、ハグリッドに教えてもらえたらなと思って」


ハグリッドはしかめっ面をした。そして、答えはノーだった。まあ、当たり前だよな。


しかし、ハーマイオニーのおだてで、いともたやすく口をひらく。いくら森番とはいえ、あまりにこいつらを信用しすぎじゃないか?俺は聞きながら苦笑を禁じ得なかった。


「スネイプだって?」

「ああ、そうだ。まだあのことにこだわっておるのか?スネイプは石を守る方の手助けをしたんだ。盗もうとするはずがない」


なるほど、各先生方が魔法の罠をかけたのか。じゃあ、三頭犬から賢者の石にたどり着くにはそうとう手ごわいだろうな。


「ハグリッド、窓を開けてもいい?ゆだっちゃうよ」


ロンが汗をぬぐいながら聞いた。しかし、ハグリッドはそれを断った。


「ハグリッド、あれは何?」


ハリーが暖炉を指さした。その炎の真ん中、やかんの下に大きな黒い卵があるが、俺はそれを極力見ないように気を付けていた。


しかし、とうとう、その話題になってしまった。これは、しばらくサラを避ける必要があるかもしれない。あいつに知られたら、絶対に連れて行けとうるさい。


「ハグリッド、どこで手に入れたの?すごく高かったろう」


ロンはそういいながら、火のそばに屈みこんで卵をよく見ようとした。


「賭けに買ったんだ。昨日の晩、村まで言って、ちょっと酒を飲んで、知らないやつとトランプをしてな。はっきりいえば、そいつは厄介払いして喜んでおったな」

「だけど、もし卵が孵ったらどうするつもりなの?」

「それで、ちいと読んどるんだがな」


ハグリッドは枕の下から大きな本を取り出した。


『趣味と実益を兼ねたドラゴンの育て方』だった。


「俺のはノルウェー・リッジバックという種類らしい。こいつが珍しいやつでな」


ハグリッドは大満足そうだった。


その姿がサラザールとかぶって俺は頭が痛くなった。


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