#2 泰然



名字名前は伏黒恵を狂わす、唯一の人間だ。

彼女とは別に、初めましてが運命的な出会いであったとか、長い時間をかけてゆっくりお互いを好き合ったとか、そういうドラマみたいなエピソードがあった訳ではない。
寧ろ伏黒は最初、名前にあまり良い印象を抱いていなかった。喋ったことはなかったが、冷たい視線に高慢そうな態度を見て、彼女がどんな人間かを勝手に悟っていた。美人で優秀な呪術師と褒め称えられる彼女は、何一つ不自由なく過ごしてきたのだろうと、何となく想像した。
この人とはあまり関わりたく無い、関わったところで自分の様な人間に彼女が興味を抱くことは無いだろうが。そんなことを心の中で思っていた。

だが、外面では見えない本当の彼女を知ったあの日から、伏黒の心は一変する。
なんて愚かな思い込みをしていたのだと、過去の自分を責めずにはいられない程の後悔に襲われた。
そこから彼女を好きだと思うまでは、そう時間はかからなかった。

今ではもう身も心も溶かされるほど彼女に惚れ込んでいる。とにかく愛しくて堪らない。ここまで人を愛おしいと思ったことなど無いほどに、伏黒はとにかく彼女に夢中なのだ。
昔は苦手だと思っていたツンケンした彼女の態度だって、今では可愛く思えてしまうほど。

だから、彼女の周りの人間が未だに彼女を誤解したままなのが歯痒かった。
ただでさえ1級術師という高い階級とそれ相応の実力を持った彼女は、他から見れば異質な存在。それに加えて、どこか人を拒む様に見えてしまう表情や口調、態度がいつも彼女を孤立させるのだ。

だが、伏黒は知っている。
本当の彼女は人一倍寂しがり屋であることを。
人と関わり合うことに慣れない彼女は、人との距離の詰め方が分からないだけで、決して目の前の人を拒んでいる訳では無いことを。
珍しい術式に恵まれ、呪術師としての才能に溢れているのに、自分に自信がなく努力を積み重ねていることを。

そのことを皆が知り、彼女を理解していれば、きっと彼女の世界はもっと明るくなるだろう。
伏黒が居なくたって笑って過ごすことはできるだろうし、伏黒よりも素敵な人に出会って、そして、伏黒のことなど忘れ去ってしまうのだろう。

不遇な彼女を幸せにしてあげたい、そう思う気持ちは紛れもなく本物だが、心のどこかでは、不要となった自分が彼女に捨てられる事が怖くて堪らない。
ずっと彼女を繋ぎ止めていたくて、ずっと彼女の中での特別で在りたくて、伏黒は彼女との「約束」を言い訳に周りの誤解を積極的に解こうとはせず、彼女の一番近くで寄り添うのだ。
こんな狡くて最低なやり方しかできない自分が、心底嫌になる。
だけど、せめて今だけはどうかこのままで居させてほしい。誰に向ける訳でもない願いを抱き、伏黒は今日もまた彼女と過ごすのだ。







「あ、そう言えば名字先輩って海外に行ってたんだよな?伏黒は先輩がどこに何しに行ってたのか知ってる?」

自習時間でグランドに出ていた虎杖、伏黒、釘崎は教室へと戻る道すがら、昨日の名前との出来事を話題に上げていた。
釘崎は真希と外食に出ており不在であったため、虎杖がその全容を簡単に説明する。それを隣で黙って聞いていた伏黒だが、不意に問われた虎杖からの質問に、どう答えるかを一瞬考える。

「五条先生のお遣いで海外に行った、それ以上は俺も知らねえから本人に聞け。」

そう素気なく答えるが、本当は彼女がどこへ何をしに行ったか、伏黒は2ヶ月前から知っている。だが、まるで“そこまで仲がいい訳では無いから何も聞いてないし興味もない”、そんな態度をわざととった。
仲間に嘘を吐くのは少し居心地が悪い気もするが、彼女との約束を守るためだと心の中で自分を肯定する。

「いやー、それはちょっと……。なんか名字先輩って怖いし、近寄り難い雰囲気っつーか…」
「なに?虎杖びびってんの?そんなヤバい人なの、名字先輩って。」

虎杖の横からそう口を出す釘崎は昨日彼女とは対面しておらず、女一人に何ビビってんだよと強気な態度で虎杖を牽制する。

「いや、本当めちゃくちゃ怖いんだって。すんげー美人なんだけど、こー何て言うかな?黙って睨み利かせてくる感じで怖いやつ。」
「ふーん。アンタ、私には美人とか一言も言わない癖に年上の女は素直に褒めんだな。」
「えー、そこかよ!?」
「当たり前でしょ、そこ以外に何があんのよ?」
「いや、名字先輩ちょっと怖いって話してたよな!?」

噛み合わない2人の会話に伏黒は自から飛び込むことはせず、ただ軽く聞き流す。
虎杖の言う「怖い」「近寄り難い」と言うのは、誰もが最初に抱く彼女の印象だ。決して虎杖が特別悪い印象を持っている訳ではない。だが、本当の彼女を知っている伏黒からすると、昨日の彼女のあの態度には特に意味はなく気にするほどのことではない。会話中に腕を組むのも彼女の癖で、眉を顰めるのも考え事をしているだけ。彼女は寧ろ虎杖に興味を持ち、虎杖がどんな人間かを注意深く探ろうとしていたのだと伏黒は理解している。
それが全然虎杖に伝わっておらず、逆に怖がられている。

今伏黒が思っていることをそのまま虎杖に伝えたとすれば、きっと両者共に幸せになる筈だ。
だが、その間に伏黒が介入する事は、彼女と結んだ「秘密」という約束に反することになるため、伏黒はいつものように何も言わず、何も知らないふりをする。

「名字先輩の顔、マジでタイプなんだけどなあ」と呟く虎杖に、本当は「お前の入る余地なんてもうどこにもねぇよ」と言ってやりたい伏黒だが、ぐっと押し黙る。そんな伏黒の半歩前を歩く釘崎は「どうせ庇護欲掻き立てられるお姫様みたいな顔してんだろーな。あーあーヤダヤダ。これだから芋くさい田舎者は都会の女の顔が好きなだけだろーが。」と虎杖の巻き添えに名前へも辛辣なコメントを吐く。これが虎杖と釘崎のいつも通りの会話なのだが、名前の事を悪く言われるのは少し複雑な気持ちになる。

そんな終着点のない会話をしながら3人で教室を目指して歩いていれば、不意に誰かが自分たちの後ろを歩いていることに伏黒は気づく。ここまで近くなるまで気づかないとは、かなり静かな足音の人間だ。先生だろうか、と思いながら後ろを振り返れば、そこには今まさに虎杖たちが噂の的にしていた人物が無表情で歩いていて。

ああこれは完全に聞かれていたな、と思いつつ、半歩前で盛り上がる2人に気づかれないように名前へと微笑みかける。そうすれば、彼女の綺麗な目が一瞬大きく見開かれ、そしてふいっと斜め下へと視線が逸れる。
彼女のその反応は、伏黒も予め想定はしていた。だが、予想ができたとしても可愛いと思う感情は抑えられない。我ながら重症だなと頬を掻く。
きっと、彼女が今照れているなんて、伏黒以外の人間は思いもしないだろう。彼女のあからさまに視線を逸らす仕草や黙って顔を背けるというのは、間違えなく照れている時の反応。破壊的に愛らしいその反応に、くくっと笑いたくなるのを堪える。
この何でもないやり取りですら、第三者である虎杖や釘崎がいる空間では「秘密」にしなければならないのだから。

そろそろ虎杖と釘崎を止めたほうがいいと思い始めた伏黒は、2人の会話の途切れ目を見つけて忠告する。

「お前ら、名字先輩そこに居るぞ。」
「「ゲ…っ」」

その場に立ち止まり、恐る恐るこちらを振り返った2人は、伏黒の少し後ろで足を止めた名前に驚愕のあまり白目を向く。弁明の言葉も思いつかずワタワタと慌てる2人。名前はその2人の姿に綺麗な目をすっと細める。ああ、多分また虎杖は彼女のこの顔にビビっているのだろうなと思いながら、話を逸らすように「どうしたんですか?」と名前に聞く。後ろの2人から目を離した名前は、真っ直ぐな視線で伏黒を見上げる。

「伏黒、五条先生が呼んでる。」

伏黒、自分をそう呼ぶ名前に、少しもどかしさを感じる。
伏黒も2人きりの時以外は名前を名字で呼ぶ。それはそれでもどかしいのだが、同時に彼女との秘密を共有している感じがして嬉しい。

「お前ら先行っててくれ」と、名前にビビりまくりの虎杖と釘崎に一言告げる。果たしてその声が届いているのかは分からないが、まあ何でも良いかと途中で吹っ切れた伏黒は、彼女の伝言の通り五条の元へと歩き出す。

元来た道を歩き出す伏黒。その方向と全く同じ方へ名前も歩き出すので、疑問に思った伏黒は、自分の何歩か後ろにいる彼女の方へと振り返る。

「…名字先輩も、五条先生のとこ行くんですか。」
「ん…別件だけど、」
「そうですか。」

「じゃあ一緒にいきませんか?」
まるでその一言が伏黒から帰ってくるのを待っている様に、黙って伏黒を見上げる名前。彼女は何故いつも愛らしい反応で伏黒を困らせてくるのだろうか。自分からは恥ずかしくて誘えないのだろうが、誘って欲しそうな瞳が伏黒にそれを訴えかけていて。ぐっと心臓を鷲掴みされているみたいな気持ちになる。
結局、伏黒はその愛らしい訴えに我慢などできず、すぐに誘いの言葉を口にするのだった。







五条から渡された単独任務が終わり、いつものように女子寮の1番角にある名前の部屋へと伏黒は潜り込む。
高専の女子生徒は名前を入れて3人。うち他の2人とはフロアが違う名前の部屋への侵入は、決して難易度の高いものではない。
名前から渡されていたスペアキーを鍵穴に挿し、入口から堂々と入る伏黒。まるでこの部屋の主のような手慣れた行動が伏黒の不審さを薄めていく。女子寮には男子禁制というルールがあるものの、実際には男性陣が真希や釘崎の部屋で屯することはよくある。今更姿を見られたところで、誰も気に留めなどしない。

1秒でも時間が惜しい今の伏黒は、部屋の中へと入り真っ先に彼女の元へと駆け寄る。
そんな伏黒の慌てぶりに何事だと言わんばかりに目を丸める名前。パタリと手元の本を閉じた名前は、椅子に座ったまま「…おかえり、」と小さく呟く。

「名前さん」

名前の細い首へと腕を回し、そのままの勢いで抱き締める。たった今帰ってきたばかりの伏黒がこんなに熱烈な挨拶をしてくるとは思っても見なかったのだろう、名前は「ぅえ…っ」とらしくない間の抜けた声を出す。
なんだ今の声可愛いな、そんな事を考えれば、伏黒のいつもの澄まし顔は完全に緩み切ってしまう。

ここのところ絶え間なく名前にときめき続ける伏黒は、本当に自分が重症だと思う。これが2ヶ月間離れていた反動というものなのだろうか、彼女の些細な行動や仕草にも愛おしいという気持ちがとめどなく溢れてきて。それはもはや自分ではどうする事もできない。
いつか、誰かの前でこの気持ちをぽろりと口にしてしまうのではないかと、気が気ではない。
そんな伏黒の心配事など知りもしない彼女は、「疲れているの?」と伏黒の腕の中でハテナを浮かべていて。
ああ、このどうしようもないほどに膨らんだ伏黒の気持ちは、まだこれっぽっちも彼女に伝わっていない様だ。

彼女を強く抱きしめていた腕を解放し、そのまま白く柔らかい頬へと手を添える。
おでこが触れ合うくらいの距離で見つめてやれば、彼女は長い睫毛をぱちぱちと瞬かせながら、伏黒の瞳からわざとらしく目を逸らす。伏黒を意識しまくっているようなその仕草が、伏黒を優越感に浸す。

「名前さん」
「待って…っ」
「待てません。」

こんな状況になるまで伏黒を許していたのは彼女の方だと言うのに、今更待つなんてできる訳がない。
伏黒は彼女の願いを叶えることなく、血色の良い美味しそうな唇へと自分のを重ねる。
小さくて柔らかい唇。自分を一喜一憂させる言葉を放つこの唇が、伏黒は好きだ。
2、3度啄むような口付けを交わせば、角度をとって更に深く口付ける。わざとらしく唇を少し硬めに閉じようとする名前。そんな無意味な抵抗など男心を燻るだけだと言うのに、彼女はまるで分かっていない。
無理やり自分の舌を捻じ込み、彼女の小さな舌を捕まえてはぐちゃくちゃに絡めてやる。唾液の絡み合う音が厭らしく部屋の中に響く中、名前の控えめな甘い声がたまに口から溢れて来る。それが恥ずかしいのか、声を我慢しようと身体を強張らせる名前は、無意識のうちに伏黒へとしがみつく。
こんなの、理性を保てと言う方が無理な話だ。

「すげー可愛いです。」

一度彼女の唇を解放し、思ったままの言葉を伝えれば、真っ赤な顔をした名前はその顔を隠すように、ぽすっと伏黒の胸へと額を押し付ける。
彼女の額の先には、バクバクと高鳴る伏黒の心臓があって。
やばい、絶対に音聞こえてるだろ。そう焦れば焦るほど、不本意にも鼓動は高く波打ってしまう。
伏黒は、一見涼しげな顔で彼女と触れ合っている様に見える。だが、実際はそんな余裕などどこにも無い。愛しい人とこんなに近くで触れているのに、余裕でいられるなどあり得ない。
それに気付かれるのはどこか格好悪い気がする。だが同時に、名前が自分に寄り掛かって来てくれるのが嬉しくて堪らない。

ああ、もう何だっていいか。そう早々に吹っ切れた伏黒は、自分の胸に凭れかかる彼女を優しく抱きしめた。

「名前さんが近くに居ると、やっぱ良いですね。」
「…普段そんなに一緒に居ないけど。」
「まあそうですけど、それでも2ヶ月も会えない事はなかったんで。」

寂しかった。その気持ちもあるが、とにかく不安で仕方がなかった。
伏黒も彼女も呪術師として最前線で戦う立場にいる。お互いに明日も生きているかも分からない身であるからこそ、直接会ってお互いの無事を確かめ合いたいし、疲労していく心を救い合いたい。

会うどころか連絡すらとれない日々、それがいつまで続くのか分からないあの状況で、どうして彼女が生きていると信じる事ができるだろう。
何かに集中していないと、最悪な知らせが来る事を想像してしまい苦しくなる。

だから、彼女が帰って来てからの世界の明るさは、本当に計り知れないものであった。
改めてその事に気付いた伏黒は、生きていて側に居る間は彼女との時間を何よりも大切にする事を密かに誓った。

「恵、怪我したの?」

彼女の髪へと絡ませていた伏黒の手を、名前は不意にパッと掴んだ。そして、伏黒に制服の袖をスッと捲し上げる。
何のことだろうか、今日の任務では腕に怪我はしなかったが。そう思いながら、剥き出しになった自分の腕を彼女と一緒に見る。
そこには、確かに治りかけの切り傷が手首から肘の付近にかけて存在した。自分で見える所では無いため完全に失念していたが、この間の任務でしくじった時に切れたものだと言う事をすぐに思い出す。

「ああ…これは転んだだけです。」
「傷が古い…交流会?東堂にやられたの?加茂?」
「いや、違います。」
「じゃあ呪霊?」
「転んだ事にはしてくれないんですね。」
「誤魔化したいならもう少しマシな嘘ついて。」
「厳しいですね。」

しくじった事を素直に伝えるのは正直格好悪いし、彼女にこれ以上心配させてしまう事を伏黒は望まない。
だが、隠そうとした事が裏目に出たのだろうか、彼女は益々眉間に皺を寄せて伏黒の腕を見ていて。こんな傷、伏黒からすると大したことは無い。手当してもらう程のものではないのだが、名前は何故かひどく傷ついた様な顔をしていて。彼女が悪いわけでは無いのに、どうしてそんな顔をするのか。

くすぐったいぐらいの優しい手つきで、瘡蓋となった切り傷にそっと触れる名前。
不意に、伏黒も彼女の手首に傷があることに気が付く。

「名前さんこそ、この傷どうしたんですか?」
「…転んだ。」
「何でさっき自分で否定したやつ、出すんですか。」

ああ、この人は本当に仕方のない人だ。思わずふっと笑ってしまう。
今度は伏黒が、さっき名前にされたのと同じ事をする。優しく傷へと触れると、ピクリと名前の腕が跳ねる。痛かったのかと名前の顔を覗き込めば、痛そうに眉を顰めて居る様ではない。だが、どうすれば良いか分からないような困った顔をしていて。
人にやっておきながら自分に返されるとこんな反応をするなんて、反則だろう。

困った表情の彼女は伏黒の手から意識を逸らすように、あからさまに違う話題を持ちかける。

「宿儺の指、あの人本当に食べたの?」

彼女の言う“あの人”というのは、伏黒の同級生である虎杖悠二の事だろう。
彼女が日本へ帰って来たときには、すでに虎杖は宿儺の器として高専に居た。異質な存在であるにも関わらず、きっと誰も彼女へ詳しい説明をしていないのだろう。
伏黒も伏黒で、彼女と2人きりの時に自ら他の男の話をするのを少し躊躇った。五条が大方話してくれるだろうと期待していたが、そうだあの人は適当だったと思い返し、今になって後悔する。

「本当です、あいつもう数本は食ってますよ。」
「数本……前に任務で回収した指、酷い見た目だった。他のはもっと美味しそうなの?」
「いや、虎杖が食ったのもまあまあグロい指でしたよ。」

信じられない、という様な顔で伏黒を見る名前。伏黒が指を食べたわけではないのに、何故か微妙な視線を向けられていて。食ったのは虎杖ですからね、としつこく追言する。

「虎杖悠二…」

何か考え事をしているような顔で虎杖の名を口にする名前。
その表情、声色、唇の動きの一つ一つが、まるで物想いの耽っているように見えて、ドクリと心臓が音を立てる。
きっと実際は全然違う事を彼女は考えているのだろうが、それにしても色気のある表情や声で他の男の名を口にされるのはいい気がしなくて。
考え事の最中であろう彼女の唇に、少し強引に自分の唇を重ねてやる。
驚いた様にピクリと彼女の肩が跳ねるが、気にせずに何度も何度も口付けをする。

「な、なに、急に…!」
「…何となくです。」

訳がわからない、と言いたげに頬を染めた名前が伏黒を見ていて。
我ながら心が狭いとは思っているものの、やはり彼女と2人きりの時はこうやって照れた顔で自分だけを見てほしいと思う伏黒がいた。






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