今日この日、曜日的には土曜日。部活をしていない私にとっては貴重な休日で、休日は文字通り休む為に有るものだと思う。

そんな訳で朝からベットの上でまったりしつつテレビを眺めていると、傍らに置いていた携帯が聞き慣れたメロディを奏でた。

好んで設定したアーティストの歌声を遮りメールを確認してみると、そこには沖田 総司の名前。

内容は今日出掛けようといったものだったけど、私はそのまま電源ボタンを押して画面を待ち受けに戻した。

返信をせずに放っておくと、今度はメールを受信した時とは違う音楽が流れる。着信を知らせるそれに再び携帯を開き名前を確認すると、言わずもがな掛けてきたのはあいつ。

無視しようかとも思ったが、沖田ならしつこく掛けて寄越すだろう。それも、着歴のページをスクロールしても、びっしりその名前で埋められてしまいそうな位に。


「……なに」

「メールくらい返しなよ」

「いや」

「返すのが?行くのが?」 

「どっちも。」


好き好んで話したくは無い。用件はそれだけかと再三電源ボタンに指を添わせると、態とらしい溜息が聞こえた。


「どうせやる事無くてダラダラしてるんでしょ?」

「私が何してようが勝手じゃない」

「じゃあ僕が何しようとも勝手だね。11時に迎え行くから」

「…は?」

「準備しといてね」


また後で、なんて言ったと思えば、それに続くのは通話終了を示す無機質な機械音。

無意識に表情を歪ませながら時間を確認してみると、沖田が指定した時間まであと一時間を切っていた。

だからと云ってあいつに合わせる必要も無ければ、急ぐ必要も無い。そもそも、私の家を知っているのだろうか。

そんな事を考えながら、念の為。念の為、最悪の場合に備えての準備をしようかとベットから起き上がった私は、小さな欠伸を噛み殺しながら洗面所へと向かった。







結果から言えば、あいつは私の家を知っていた。11時丁度にインターホンが鳴った時といったら、テンションの下がり具合が半端じゃなかった。

扉の先には勿論沖田が居て、思いっ切り嫌そうな顔をしてやったのにその笑顔は崩れない。

何もこいつに付き合ってやる義理は無いけど、後々面倒な事になるのは避けたいのだ。

仕方無くバッグを手にパンプスを引っ掛ければ、何だか上機嫌に見えなくも無い沖田に手を引かれる。

振り払おうとしても悲しいかな男女の差、離してくれやしない手と背中を睨み盛大な溜息を吐き出してやった。

私の休日を潰すんだから、くだらない事で連れ出したなら殴ってやろう。


2011/07/18

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