期限付き。条件付き。
そんな付き合いも一度や二度じゃないし、よっぽど不利なものじゃなきゃある程度の条件は受け入れる。
今回だって、私にデメリットが無いから頷いただけ。だからと言って、メリットが有る訳でも無いけど。
一、期限は一週間
二、お互い自らは公言しない
三、必要以上に連絡をしない
四、余計な干渉はしない
五、一週間後は完全に他人
簡単なものだ。寧ろこんな条件を付けるなら、別に付き合わなくても良いんじゃないかってくらい。
今日は一日目。条件の三つ目に有る通り、重要な用件以外では連絡をしないと言われたばかりに私は今、些か困惑している。
絵文字も顔文字も無く、シンプル且つ短文。放課後教室で待ってて、この一文だけのメール。
勿論、差出人は沖田 総司。
「なになに、どしたの?早く帰ろ」
「あー…ごめん、ちょっと用事出来た。」
「急だねぇ。じゃあ私は先に帰るよ」
「ごめんね、明日は一緒に帰ろう」
何用かと尋ねて来ない友人に有り難いと合わせた両手を頭上に掲げるよう頭を下げれば、大丈夫と肩を叩かれた。
再び彼女を見た時にはもう教室から出るところで、最後に一言掛けながら手を振って見送る。
そんなやり取りをしたのも約30分前、未だ姿を現さない相手にまさかからかわれたのかと表情が歪む。
何度携帯を開いて見ても新しいメールが届くことは無くて、もう帰ってしまおうかと鞄を掴んだ。ドラマなんかじゃこのタイミングで現れるんだろうけど、実際そんな上手く事が運ぶ筈も無い。
靴を履き替えて校舎を出ると、ふと聞こえたのは男女の会話。というより言い合いに近い。
何かと其方を見遣れば、そこに居たのは見知らぬ女子と見覚えの有る男子の姿。男子の方は言わずもがな、沖田。
何やら詰め寄られているらしいその光景も特別興味が持てるものでは無く、私は結局一人帰路を辿ることにした。
2010/05/17