星が緑に光る夜


何時かは覚えてないけど、前に一度忠告を受けた事が有る。

多分、私が沖田さんに特別な想いを抱き始めた頃だったと思う。

私が分かり易いのか、周りの人達がそういった変化に聡いのか。


あの場所で生きる者には好かれよう、好こうとも思うなって。それが敬愛や友愛の事を指しているんじゃないって事はすぐに分かった。

自分の想いに戸惑いを感じていたあの時は、さすがにひやりとした。


確かに、自分なんかが誰かの特別になれるだなんて思ってない。

これは、私だけの気持ちだ。

伝える気は更々無いし、だからと云ってすっぱり諦めきれそうにもない。


今日も巡察中の彼等を見付けて、ただ静かにその背中を見送るだけ。

羽織りを靡かせるその背は遠くて、届きそうにもない。


もし、もし私が男だったら、彼と一緒に歩けたのかもしれない。

もし私にも何か理由が有ったなら、彼の隣を歩く「彼女」の様になれたのかもしれない。


最近すっかりもしも話が好きになったらしい私は、一人溜息を漏らす。

小さく、小さく、彼の名を紡ぎながら。
 
呼んでも届かない。聞こえない。伝わらない。

これが初恋でもあるまいに、だけどこの胸の痛みは一向に引く気配が見られない。


嗚呼、理由が欲しい。理由が欲しいと、哀れなまでに叫び散らすその声が胸を刺す。

もういっその事、止まってしまえば良いのに。そうしたら、大人しくはなるでしょう?


もし一度だけ声が届くのならば、その冷たい掌でこの心臓を握り潰して頂きたいものです。

だってこれは、貴方だからこその我儘。


2011/01/24***


 

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