トロイメライの告白


カイトは、何が好きなんだろう。

アイス以外に彼が喜ぶものはと聞かれたら、私はきっと悩んでしまう。

ふと気になったその答えが知りたくて、頭を後ろへと逸らせて視界を天井へと向けてみる。お腹の前で組まれた腕を軽く叩いてみれば、天井の白に映える青が僅かに傾いた。

私を膝に乗せたカイトの視線が下ろされると、必然的に私と目が合う。

何時も通りの優しい笑顔で何かと目で尋ねられては、いっそのこと聞いてみるのも良いかもしれない。

なんて答えるんだろう。

やっぱり、ボーカロイドらしく歌?

それとも、アイス以上に好きなものはありません!とか?

それとも、…それとも?

もしかしたら、カイトも悩んでしまうかもしれない。そしたら、今日はカイトの好きなものを探しに行こう。

もう午後だけど、今から出掛けても出来る事や行ける場所はたくさん有るから。

私は彼にまた少し詳しくなって、カイトもまた一つ楽しみが増える。ほら、良いことづくめなこの質問。


「…ねえ、アイス以外では何が好きなの?」

「アイス以外、ですか?」

「うん。」

「マスターが好きです」


………そういう事じゃ、ないんだけどな。

変わらず微笑を浮かべる彼から視線を外し向かいのテレビをじっと見直してみれば、頭上からは小さな笑い声が聞こえた。

なんだか頬が熱い。

まさか笑われてしまうなんて、こんな質問しなければ良かった。…かも。


2010/11/00***


 

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