懲りもせず、体はまたぞろ悦くなる。そして、体に引きずられ心もまた歓ぶ。
 三成は何度も何度も家康の肉厚の舌を噛んで吸う。
 先ほどから微かに鉄の匂いがするのに家康は気がついていたが塩と酸を含んだようなあの独特の味は感じられなかった。三成に涎ごと血が吸われているからだろう。
 そう思いあたって、さらに身体が昂ぶった。
「ふぁっ・・・」
 今度は三成の舌が家康の舌を押し出した。三成の口腔から出て行けということなのだろう。
 家康は霞掛かった頭でそう理解してのろのろと舌を己の口の中へと引っ込めようとしたが、それを三成の先ほどよりも少しだけ熱をもった薄い唇に阻まれる。
 舌を唇で挟まれ、家康は物欲しげな犬のようにだらりと舌を突き出した宙ぶらりんの状態にさせられた。
 家康は己の呼吸が浅く音に聞こえる程になっているのを聞き、平然を装う理性が軋みをあげて今にも崩壊しそうになるのを堪えた。
 三成の為に捧げられた舌に何を見つけたのか、瞳が面白そうに閃いた。  
 手甲を外した三成の生身の手が伸びてきて、細く筋張った指が家康の舌の上を弧を描くようになぞった。
 そこは先ほど三成が強く噛んだところだとすぐに直感した。三成は家康の舌の上についた己の歯の形を指先で辿って遊んでいるのだ。
 軽い苦痛と途方もない淫楽に襲われとうとう家康の腰が萎えた。
 がくりと膝が落ち、身体が傾ぐのを反射的に差し出された三成の腕が支えた。家康は尻を強かに地面に打ち付けることを免れたが、立ち上がる気力はなく、また三成が抱き起こそうともしなかったため、そのまま座り込む羽目になった。
 三成は家康の前に立って見下ろすと、家康の顎を捉え仰向かせた。
 家康はぐっと拳を握り、唇を噛み締める。
 見上げた視線と見下げた視線が交わる一瞬、三成がぴくりと動いたがそれが何であるかを考えを巡らせる余裕はなかった。
 三成が上体のみを前に倒し、再び家康に頬を寄せた。




back top

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -