口を塞がれると、すぐに三成の舌が唇を割って入ってくる。歯を噛み締めて侵されることを拒むと襟足を掴まれ、ぐいっと強く引かれた。頤が上がった拍子の僅かな間隙を突いた三成が家康の口腔内(なか)にぬるりと押し入ってくる。家康はその感触に短く呻いたが、それすら三成に呑み込まれた。右手で髪を掴まれたまま、更に左手で腰を引きよせられ、三成の薄くて冷たい舌に口腔を蹂躙される。唇の裏を弄られ、歯の根を舐(ねぶ)られ、舌の根をまで嬲られる。家康の喉の奥まで暴くように舌を差し込んできた三成だったが、これ以上深くを侵すことが出来ないと諦めたのかそれとも飽いたのか、喉に伸ばしていた舌を今度は家康の舌に絡めてきた。
 口を吸われる、などという生易しいものではなくそれはもはや戦場での真剣勝負のようだった。
 家康は三成とこうすることは決して嫌ではなかったのだが、なんにしろやられっぱなしは性にあわないので腑抜けそうになる足腰に力を込めて、三成の舌の動きに応じた。
 口腔から直に響く粘膜が唾液に塗れて擦りあわされる音が、鼓膜を侵す。抱き寄せられている腰が蠢きそうになるのを必死で堪えると、舌の動きが疎かになって三成に絡め取られてしまった。
 舌を口の中から引きずり出されると、三成の歯に軽く噛まれた。
 恐怖からか、快感からか?
 反射的に体が震えた。
 三成はまるで獲物を銜え込むようにして、今度は家康の舌を自分の口の中に引きずりこんだ。
 三成の口腔はひんやりとしていて、微かに甘いような気がした。
 そんな感想を覚えたのも束の間。
 今度は激しく舌を吸われた。
 ぢゅっ、ぢゅっと耳を塞ぎたくなるようなあられもない音を立てて貪られる。
 これには流石に家康も慌てて、唇をもぎ離そうとしたが、その抵抗はあっけなく封じられた。


 

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