「おぉ、トシが言ってたみたらしだんごちゃんってこの子か!なるほど可愛らしいなあ」

キャバクラで良くお妙さんと騒ぎを起こし、ブラックリストに載っていたと専ら噂の近藤さんというのは、真選組の局長であったらしい。その証拠に副長さんは今現在、目の前で腕を組み豪快に笑う彼を、私に『真選組局長』として紹介した。そうか、警察なのに局長なのにゴリラっぽいのにキャバクラでブラックリストに載るんだへえー。そう思った瞬間、局長さんがヒッと怯えた声を出す。そこまで怖い顔で睨んでねーよ。
それにしても、トシが言ってたって…どういうことなのだろうか。「近藤さん、あんま余計な事言うなよ」と一言残して、土方さん(と呼ぶことにした)は事情聴取用の資料を取ってくると部屋を後にした。局長さんと2人きりだ。

「そういえばだんごちゃん、昨晩は災難だったそうだな。怪我は無いかい?」
「あ…土方さんが助けて下さったので、傷1つありません。ご心配ありがとうございます」

ゴリラ顔ではあるが優しい眼差しでこちらに微笑む局長さんに心が温かくなる。これが真選組の局長さん。なるほど素敵な人だ。初対面なのに相手を緊張させない、雰囲気のある人。ある程度距離があれば、男性が苦手な私でも平気で話が出来る。ああ、この人だから皆から慕われて局長となったのだろうな。
礼を述べ局長さんに笑みを向けると、局長さんは嬉しそうに大きく笑った。

「礼儀正しい子だなあ君は!確かにトシが気に入りそうだ!」
「…へ?」
「いやなぁ、実は1ヶ月くらい前に仕事で君んとこのキャバクラに行った事があるらしくてな。その時、嬉しそうに『マヨへの理解者を得た』って帰って来たんだよ。多分だんごちゃんの事じゃないか?確か2人でスーパーに行ったんだろう?」

“マヨネーズを好きな事に全然文句を言われなかった。あいつは絶対良い奴だ”とか言ってたなー。と笑う局長さんの言葉に、思わず頬が染まった。土方さんが、私を話題にしていたなんて。内容はアレだけれど、嫌われていない事は私にも理解できた。どうしよう、ただ、嬉しい

ああ、あの人と、土方さんと いつか想い合える時が来たら良いのに。つい、望んでしまった。







20121027
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テーマ「人外ファンタジー」
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