よく笑う、よく喋る、よく泣く、分かりやすい程、感情の表現が豊かなコイツは、呆れるほど優しく、そして純粋だ。
大切にしたいと思い始めたのはいつだったか。漫画でよくある"幼なじみ"というポジションに立っていながら、いつから恋愛対象としてコイツを意識していたのだろう。
よくある話だ。漫画でなら、ここで俺が 好きだ好きだとアピールをして、コイツを振り向かせるのだろうが、あいにくそんな勇気は俺にはない。目が合って笑いかけてくる。話をする。それだけで幸せなのだ。
近すぎたのだ俺たちは。だからこそ、遠い。

放課後の教室で、俺が部活が終わるのをコイツはいつも待ってくれている。家が隣だから、一緒に帰ろう。と、恐らく深い意味は無いのだろうが、それだけで俺は幸せな気分でいられるのだ。
左向きに机に突っ伏して眠るコイツの、小さな手にそっと触れる。ぴくりと反応は見せたが起きる様子はない。調子に乗って、栗色の髪もそっと梳く。サラサラと手の中で流れる細い髪からは女性特有の香りがして、少し焦った。
あぁ、あぁ、抱きしめたいキスをしたい。そんな衝動に駆られ、しゃがみ込んで顔を近付ける。幸せそうに眠る寝顔に罪悪感を感じながらも、顔を近付けていくと、触れる直前で「銀ちゃん」と静かな寝言が聞こえて顔を離した。
あぁ、俺とお前の3センチは、どうやったら縮まるのだろう。











20120904

銀ちゃん夢なのか?w
いじらしい関係を書きたかったが撃沈。

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