※会話が下品


屯所で、いつもと変わらず総悟のサボった分の書類を片付ける。つーかいつもと変わらずってなんだ。俺あいつの上司だよな、俺あいついつか殺すと思う。
この間も、市中見回りをサボったらしく、それを問い詰めようとしたら「さあ…真実は…誰も知りやせん」とかドヤ顔で抜かしやがった。明らかサボってんじゃねーか。しかもその口の周りのきな粉はなんだ茶屋に行ってたんだろやっぱ俺あいつコロス。

思い出しイライラしながら煙草に火を点け一服していると、女中にしては騒がしく 隊士にしては控えめな足音がトタトタと廊下を駆けた。ああ あいつだな、とすぐに分かる。
それにしても、今日はいつもより随分騒がしい。なにか良いことでもあったのだろうか。


「トシーっお邪魔します!」

「おう」

「うわっすごい書類の量!また総悟くんやらかした?」

「なあアイツ殺してきて」

「ふふふ、なんだかんだ面倒見てるくせに」

「るせ」

くすくすと笑みをこぼす名前を見て、俺も自然と笑みがこぼれる。夏のむわりとした空気を少しだけ薄れさせるような名前の笑みは、何度でも見ていたいと思えるほど雰囲気を感じさせるものだ。
何をするでもなく、変わらず俺の隣で座りニコニコと微笑む名前に、少し違和感を感じ、何か良いことあったか と 問うと、自信あり気に手元の薄紫色の巾着袋を漁り始めた。
伏せた#名前の白い顔に長い睫毛の影がかかり、最近ご無沙汰だったからか、ごくり、と少しだけ生唾を飲んだ。


「じゃじゃん、どうだー」

「…んだコレ」

「新しい下着です、どうだー」

「…」

「トシいっつも黒いの選ばせるからさ、今回は傾向を変えて、ちょっとロリな感じの【ひらひらレース水色ストライプ】〜これで彼の心もメロメロに!〜(商品名)
を買ってみました!どうどう?メロメロになりそう?」

「…ならねェ」

「なってよ」

「嫌だ」

「なってください」

「いやです」

ちぇー と口を尖らせながら下着を畳んで巾着袋の中に戻す名前を横目で見ながら、小さくため息をつく。人の気持ちも知らねェで。いくら俺の前だからって油断しすぎだろ。
だいたいこういう事って、本人に直接聞くもんなのか?いや聞かねぇだろたぶん。俺もよくわかんねえけど。


「…どうしても黒い下着が良いの?」

「いや、別にこだわってねェ。」

「んもー…どんな下着を着ればもっと私にメロメロになるのよー」

「…別に、なんでも」

「なんでもメロメロ?」

「だァからなんでそんなメロメロにさせたがるんだよ。お前と俺が、恋人ってだけで十分だろーが」

「え、ちょ、んむ、…」


先程までメロメロメロメロやかましかった名前の体を、静かに畳に押し倒して、唇に俺のそれを押し当てる。
てめ、キスの時は目ェつぶれってあれ程言っただろうが。
真っ赤な顔で、潤んだ瞳で、少し息の上がった名前はどうしようもなく官能的だった。まァ俺も男な訳で。こんなシチュエーションも、総悟によく邪魔されて 滅多にない訳で。
トロンとした瞳の名前の頭を撫でながら、薄紫色の巾着袋を手に取りそのまま渡す。

「…?」

「それ着てもっかい部屋来い。仕方ねェからメロメロにでもなってやるよ」


真昼間からどうかとは思うが、まあ良い。つまるところ、お前が着れば下着の柄なんてどうでもいいのだ。


 (…まあ、どうせ脱がすしな…)





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