なぜ俺がだんごに惹かれたかというと、簡単だ。可愛いのだ。まあ外見が可愛いというのも一理あるが、もちろんそれだけではない。

例えば、俺に対しては ツンデレか!と叫びたくなる程つんけんしているが(照れ隠しだと信じている)女子供相手になると、俺の見たこと無い天使のような微笑みで対応するのだ。
そうそう、天使のような微笑みと言えば、俺がだんごに初めて出会った時も その笑顔に魅了されたものだ。
確かあれは8月、いわゆる夏休みにマダオ…長谷川さんの手伝いで室内プールの仕事に駆り出された時だ。

何事もなく普通に仕事してたらどこからか叫び声が聞こえた、から慌ててそこに駆け付けたらチャラそうな男2人がプール脇のタイルの上で鼻血出してぶっ倒れてた。周りではギャラリーが1人の少女に拍手を送っている。なんだこの光景、と思った。
後から少女に事情を聞いたら、チャラ男2人が小さな男の子を虐めていたので それが許せなくて注意をしたらしい。注意しただけでぶっ倒れるワケねーだろ!と言えば、「注意した後に“じゃあお姉さんが俺らの相手してよー”って胸触ってきた。だから殴った」と供述した。反省する気はサラサラないようだ。正当防衛とはいえやり過ぎだが まあ正論なのですぐ解放してやった。

ここまでは良い。俺もその時はまだ彼女の事を 乳のデカイ可愛い娘 程度にしか認識していなかったし、俺は外見から惚れる事はまず無いから全く惚れたりはしていなかった。

しかしどうだ、プールでの仕事を終え帰路を辿っていると 先ほどの少女と虐められていたらしい男の子が笑顔でいちごミルクを飲んでいたのだ。「お前こんな可愛かったの?!」と叫びたくなる程の笑顔で男の子の頭を撫でる彼女の姿は、いわば女神だった。
ひ弱なチャラ男とは言え 男性2人を地に伏せさせる狂暴な内面からは全く想像の付かないそのギャップに、俺は一瞬でやられた。どストライクだ。

それからと言うもの、俺はだんごに付き纏っている。何の因果か、家が近いこともあって、出会う事に苦労したことはない。会いたい時に会える。なんとも運命的なものだ。


「坂田サンきもい!ついてくんなっつってんだろ!」


ギャップってイイ。





20121223
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テーマ「人外ファンタジー」
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