かの変態ことアレンに告白をされた。返事は保留にしている。
最近になって、やけに絡みも多くなった奴とは 学校に一緒に登校したり、休日に誘われて遊びに行ったりと、確かに期待させてしまう事は多々してしまっていた。いや、きっと本心では私はアレンと関わっていたかったのだと思う。全力では拒否しきれなかった。変態である面さえ除けば、本当に良い奴なのだ。変態な面を除けば。

「はあーあ」

ぐだぐだこのような関係が続くはずは無い、というのはわかっている。ここらではっきりさせねばならないのだ。私にだってそれくらい分かる。
正直に言おう。私は恐らくアレンが好きだ。階段から落ち助けられた時も、街中で出会って服装について言われた時も、手袋を取られた時も公園での1件も、どれもが私の心を動かしていた。どれもが、嬉しかったのだ。
しかし、私の捻くれた性格が、彼に本当の想いを伝える事を邪魔しているのだ。ぐぬう、と頭を両手で抱えてベットで唸っていると、携帯が軽快な音楽を奏でた。メールだ。

“今、家の前”

悩みの種の人物からのそのメールは、いつもの可愛らしい顔文字や絵文字の付いていない簡素な内容だった。慌ててカーテンを開けて窓から下を覗き込めば、白髪頭が片手を小さく振っているのが見えた。部屋着の上に、服が全部隠れる大きめのコートを着てカモフラージュをしてから急いで階段を下り玄関を開ける。気温の低さに鼻の頭をほんのり染めたアレンがそこには立っていた。


「…なにしてんの、寒いでしょ」
「寒いです、暖めてよだんご」
「…」

この男は、気まずいという言葉を知らないのだろうか。一応私は、彼からの告白を保留にしているのに相変わらずの変態だ。何をしに来たのだろう。返事を急かしに来たのか、いや、それともまさか、告白自体を取り消しに来たのか。少し不安になってアレンの顔をまじまじ見つめたら「きゃっ」とか言って照れていた、ちょっと引いた。

「…アレンあのさ、」
「だんご」

言葉を遮られ不服ながら視線を上に上げると、彼は今まで見たこともないような表情をしていた。

「だんごは、僕のことが嫌いですか」
「…嫌いじゃない」
「じゃあ好き?」

小首を傾げるこいつはきっと悪魔だ。しかし今はそんなこと関係ない。しっかり私の意見を言わなければ。口を開いて、声を出そうとするけれど、緊張からカラカラに渇いた喉からは「あ、」とか「うあ」とか言葉にならない声しか出なかった。
そんな私を見て、アレンは少し頬を緩めてそのまま私を抱きしめた。ただでさえ赤かったであろう頬に、更に熱が集まるのが分かる。

「…好き。好きですだんご」
「ア、レン」
「本当に好きなんだ。気持ち、伝わんないかな」
「…十分、伝わってる」

私の身体をすっぽり包み込む腕に指を這わせ、少し背伸びをして彼の肩に首を傾けた。ああ、私はこの人が好きだ。今なら言える、そう思って アレンの耳元で小さく“好き”と言えば、私を抱きしめる腕に力がこもった。いつもの変態ぶりからは想像もつかないくらい、男らしいその仕種に胸が鼓動を早くする。

「…じゃあ、恋人同士ですね、僕たち」
「…ん」
「いっぱいいっぱい色んなことしましょうね」
「うん」
「そうだなあ、…あ、手始めにコスプレしてくださいよ」
「うん。…うん?」
「やった。新しいカメラ買わなくちゃ、画質良いやつ」
「ちょっと待て。いきなり変態度が上がったんだけど」
「だんごは、僕のこと好きなんですよね?」
「…お、おう…」
「なら、僕の個性も愛してください」

満面の笑みで喜々として話しだすアレンに肩の力が抜けた。個性?個性だって?ただの変態じゃあないか!!


「失礼な。」





少し特殊なだけで輝かしい個性なんです


もう好きにしてくれ



20121210

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